書評『食・農・環境とSDGs』(古沢広祐著)

地球上の誰一人として取り残さない(Leave No Behind)。この私たちの究極的なミッションが、持続可能な開発目標(SDGs : Sustainable Development Goals)と共に、国連持続可能開発サミット成果文書「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」に記されている。(昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員=甲賀 聖士)

『食・農・環境とSDGs』(農山漁村文化協会)。著者は國學院大學経済学部教授の古沢広祐

最近巷ではSDGsの文字が溢れる。我が社の事業は開発目標○○に貢献している、この開発目標の達成にはこんな手法が良いなど。そもそも、開発目標を達成すれば、本当に誰も取り残さないのか。

本書の焦点は、SD=持続可能な開発 を成し得る社会経済システムにあり、Gs=開発目標 の達成にはない。どんなにGsを突き詰めても、その達成を通じて自ずとミッションを達成、GsにはそもそもSD的な性質が備わっている、という論理性を欠く漠然さがどうしてもつきまとう。

だから見るべきは、Gsではなく、Gsを達成するための構造の方なのだ。SDを社会経済システムにビルトインさせ、従来型システムから転換しない限り、ミッションはおろかGsすら達成できない。著者の主張からこう導かれるのだ。

拡大型の社会経済システムが、諸悪の根源

alternasyohyou

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