新型コロナで日本の「寄付」はどう変わったのか

オルタナ編集部はこのほど、日本ファンドレイジング協会代表理事の鵜尾雅隆氏にインタビューを行った。

日本ファンドレイジング協会の鵜尾代表理事

――いま日本が第三波にいる新型コロナは、地震や洪水などの自然災害にも共通していて、仕事を失った人も数多くでました。コロナ禍で困窮者をどう救えば良いのか、寄付の形はどう変わってきましたか。

新型コロナは未曽有の事象であった一方で、寄付への連帯意識や弱者への共感が醸成されたのが今回の特徴です。東日本大震災の時ともよく似ています。

震災で広範囲にわたって津波に襲われ、泊まるところもなく、ボランティアに行くことがかえって迷惑になるなど、ボランティアに参加することが難しかったのです。それによって寄付がたくさん出ました。

今回も、コロナ感染のリスクを考えると、ボランティア支援に行くことも難しいのです。東日本大震災の時には、赤十字との共同募金会に寄付をするとお見舞金として被災者認定を受けた方に届けるという義援金の仕組みが受け皿として大きな役割を果たしたのです。

しかし、今回はあまりにも多様な被害状況であり、義援金がありませんでした。その代わり、クラウドファンディングなどを通じての寄付が伸びたのです。

――ここ数年、寄付やクラウドファンディングは伸びていますか。

2021年11月に当協会が発行する「寄付白書」でも特集しますが、どちらも順調に伸びている状況です。日本国内の寄付は総額7000億円ほどです。日本にも数多くのクラウドファンディングがあり、正確な統計データはないのですが、今回はそこもしっかりと調べていきます。オンラインの寄付が増えたのは間違いありません。

――どのような人がオンラインで寄付をしていますか。

新型コロナでは、さまざまなプラットフォームが寄付集めを行っており、そのなかの調査では「20代など若い世代の寄付が多い」のです。最初の理由は、在宅での活動が普及し、オンラインでのコミュニケーションが当たり前になるなかで、多くの若い方が映像やSNSなどの情報に共感し、寄付をしました。

もう一つは、今回被害に合われた方、例えば若い方が派遣切りに遭うなど、若い人が影響を受けているという状況がありました。ですので、そうした情報を得た若い世代にとって、途上国や被災地など遠いところでの出来事とはまた違う共感が起こりやすかったと思います。

――男女比ではどちらが多いのでしょうか。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #寄付

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