■インパクト市場、3.8兆円越え
一般財団法人社会変革推進財団は、インパクト志向金融宣言発足から1年間の活動を取りまとめた「インパクト志向金融宣言 プログレスレポート 2022」を発行した。
同宣言は、金融機関の個別のインパクトファイナンスの質と量を拡大しようとする取り組みと、インパクト志向の金融を金融機関の業務全体に浸透させる経営としての取り組みを目指すものだ。
2021年11月に21の金融機関の署名で発足した。発足から1年を経て署名団体は43団体に倍増した。
同レポートでは署名機関が行う次の2つのインパクト投融資の投資残高を算出した。①「意図」「戦略」を持ち、アウトカムを測定している、②測定に加えてインパクト創出にかかる「マネジメント」を実施しているものだ。
2022年9月末時点のインパクト投資残高総額合計は3兆8500億円と、2021年度アンケート結果から2倍以上の規模だ。
■SDGsと投資、50人の論客が議論
一般財団法人社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブは2月1-3日、国内最大級の社会的インパクト・マネジメントに関するカンファレンス「ソーシャル インパクト デイ 2023」を開いた。
基調講演にはインパクト投資グローバル運営委員会会長のロナルド・コーエン卿と藤沢久美氏・国際社会経済研究所理事長がインパクト投資の意義や今後の可能性を議論した。
インパクト・エコノミーの「社会的基盤構築」「実践モデル」「アクター」の3つの観点をもとに、サステナブル経営やSDGインパクト基準、B Corpなどについて50人以上の登壇者が600人を超える参加者とともに話し合った。
■返礼品より「成果」、ふるさと納税に期待
「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京・目黒)が、ふるさと納税をしたことのある20-60歳以上の全国の1102人を対象にインターネット調査を実施した。
調査結果では、ふるさと納税の寄付金を使って解決を期待する課題は「教育・子育て」が最多となった。一方、50代では「医療・福祉・介護」が4割を越えて最多となり、世代間の違いも明らかになった。
お礼の品を選ばずに寄付金だけを送る形のふるさと納税について、全体では26.8%が「利用経験あり」と回答した。20代では半数以上で経験があるなど、世代間の差が大きかった。
ふるさと納税を利用する理由の上位は、返礼品や住民税控除が挙がったものの、若い世代を中心に、課題解決型のクラウドファンディングや災害支援などへのふるさと納税による寄付が広まっていることが明らかになった。
■日本初、寄付版SDGsカードゲーム
認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会は、「寄付版SDGsカードゲーム」を開発すると発表した。

同協会が発行する「寄付白書2021」では、寄付のきっかけとしてほとんどの分野で「自治会や町内会が集めに来たから」「毎年のことだから」の回答が多いことが分かった。
一方、社会貢献意識は長期的に増加傾向にある。「寄付版SDGsカードゲーム」は、社会貢献や寄付に関心があるものの、主体的な行動に至っていないというこのギャップを埋めることを狙う。寄付の力や、自身の選択が与える影響や成果に気付くためのゲームとして開発する。
カードゲームは、近年、説明だけでは分からない概念や行為を体験する手段として、教育や研修の場で劇的に浸透している手法だ。SDGsを学ぶことができるカードゲームは数多く普及しているが、寄付を主題とするカードゲームはこれが日本初となる。