ファンドレイジングトピックス: 戦略的資金調達、NPOにも

雑誌オルタナ75号(2023年12月20日発行)の「ファンドレイジングピックス」を紹介します。

国内最大会議、24年3月開催へ

認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会は2024年2月21日から3月31日にかけて、国内唯一のファンドレイジングの年次カンファレンス「FRJ 2024」を開く。期間中は、オンデマンドセッションを何度でも閲覧することができる。2024年3月9日には、1日限りの特別対面イベントをTOC有明コンベンションホールで開く。

全国のファンドレイザーや、寄付・社会的投資に関心を持つ人が対象だ。1千人規模で集まり、深いつながりが生まれることを期待できる。

寄付やファンドレイジングに関する実践的で身近な事例や、世界の最新の動向を伝える国内最大のカンファレンスだ。オンデマンド・対面形式のセッションでは、学びとインスピレーションが得られる。


■戦略的資金調達、NPOにも

NPOや社会課題に事業で取り組むソーシャルベンチャーの資金調達を支援する動きがある。認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会が運営する、「ファンドレイジング実践プログラム」だ。

同プログラムでは、NPOやソーシャルベンチャーに対し、認定ファンドレイザーらを派遣し、資金調達を支援する。初めての資金調達におけるハードルを乗り越え、収益源の多様化や事業の成長を後押しすることが狙いだ。

同プログラムでは5つのNPOやソーシャルベンチャーを選び、認定ファンドレイザーやファンドレイジング・スクール修了生のチームがそれらの団体を支援する。具体的には、資金調達に関する計画を策定したり、実行したりする。

戦略的・継続的にファンドレイジングに取り組む団体と、その実務を担うファンドレイザーの両方を増やし、必要な活動に寄付や社会的投資を届ける社会を実現することを目指す。


■「IMM」を資金で後押し

組織や事業が社会や環境に与える「インパクト」の可視化と拡大を目指すファンドがある。認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会と韓国SKグループの企業財団による、「アウトカムファンド for IMM」だ。このほど、4社の革新的な取り組みを採択した。

IMMとは、インパクトメジャーメント・マネジメントの略称だ。事業によるインパクトを測定・可視化し、経営戦略や事業改善によって、インパクトの向上を目指す体系的な取り組みを指す。

同ファンドは、日本ファンドレイジング協会とセンター・フォー・ソーシャル・バリュー・エンハンスメントスタディーズが運営する。

同ファンドが採択した4社は今後3年間で最大1千万円の資金とIMM(インパクト測定・マネジメント)の支援を受ける。選考委員会は、インパクトスタートアップ・NPO・IMMに精通した専門家から成る。


■資金調達者の収入、インフレ率上回る

世界最大規模のファンドレイザーの専門組織AFPの調査で、2022年には米国のファンドレイザーの平均給与が6.7%増え、年間のインフレ率6.5%に追いついたことが分かった。

女性の平均給与は男性の平均給与と比較して24%の差があったが、この差は15%に縮小された。一方、認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会が調査した日本のファンドレイジング従事者に対する資金調達に関する意識調査では、同協会の会員の収入は、一年前と比較して「増えている」と答えた人が70%以上を超えていた。

寄付者の権利や倫理を守り、プロフェッショナルとして活躍する「ファンドレイザー」というキャリアの認知がさらに広がることを期待したい。

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宮下 真美(日本ファンドレイジング協会)

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