記事のポイント
- MIXI創業者の笠原健治氏「みてね基金」で国内外の団体に12億円支援
- 23年1月11日までの期間で新しい助成先の募集を行っている
- 支援先の団体の運営を持続可能な形にできるよう後押しする
MIXI創業者で、現・取締役の笠原健治氏が設立した「みてね基金」は家族と子どもにまつわる社会課題解決を目指す非営利団体を支援するため、2020年から活動する。これまで国内外の団体に約12億円の資金を拠出した。23年1月11日までの期間で、第三期助成先の募集を行っている。支援先の団体の運営が持続可能な形にできるよう後押しする。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)
「みてね基金」は笠原氏個人の取り組みだが、MIXIと社会起業家などを育成するNPOのエティックが活動を支援している。
笠原氏が「みてね基金」を構想したのは2019年末だ。「家族や子どもにまつわる社会課題は多い。サービスで解決できない社会課題に対しては、非営利団体を後方支援することで貢献できないかと考えた」と振り返る。
活動を開始した2020年4月はコロナ禍の初期だったことから、緊急支援として国内53団体・海外15団体に助成した。2021年3月に決定した第二期助成では「イノベーション助成」と「ステップアップ助成」のプログラムを用意し、合計20団体へ助成した。これまで国内外で約12億円の助成を行っている。
第一期、第二期での助成経験を通じて、気づきもあった。それは社会課題解決を目指す団体が抱えている悩みは、企業が成長段階で抱えるものに似ている、ということだ。より多くの人が従事するようになると、同じ方向を向けなくなることもある。「みてね基金」では第二期から伴走支援をスタートし、面談を行いながら組織の基盤づくりをサポートしている。
様々な社会課題のなかでも「家族や子ども」にこだわる。その思いは「子どもを生みやすい、育てやすい社会を作っていきたい」という気持ちからだ。また、笠原氏は「事業による社会貢献と、社会的な活動による社会貢献を、当たり前のように両輪でやっていきたい」と語る。
「企業の活動も人間の活動も、社会とともにあります。事業でカバーできる範囲、提供できる価値は限定的にならざるを得ない場面がありますが、社会に対して成し得たい原点を考えると、同じビジョン・原体験から来ている話であり、むしろ一体です。その『両輪』を、これからも当たり前のように回していきたい」(笠原氏)
「みてね基金」では現在、三期目の助成団体を募集している。「ステップアップ助成」として1団体あたり最大1000万円、総額1億円を予定する。組織基盤を固めて、事業や団体のステージを一段階引き上げる取り組みが対象となる。
笠原氏は今後の活動のあり方について「よりグローバルな目線での支援と、それを実現する新しいアイデアも柔軟に取り入れていきたい」と語る。その時々の課題にアプローチができるよう柔軟に運営していくことを目指す。