ミレニアル世代による新たな「場づくり」とは

そんな場づくりを三重県桑名市で実践しているのが、「ニカイ」を管理・運営している福田ミキ氏(1982年生れ)だ。「ニカイ」はコインランドリーの裏側の、その名の通り2階にあるスペース。知っている人でなければ、決して入ることはない場所だ。広さは約35㎡。ハイカウンターにテーブルと椅子が数脚、それと大きなホワイトボードがある。

「ニカイ」を運営する福田ミキ氏

喫茶店でもなく、コワーキングスペースでもシェアオフィスでもないので、「利用料」はとらない。利用条件は、「仕事を持ち込む」ということ。お客様ではないので、「ニカイ」の場を乱さない人のみに限定できる。そのかわり、情報や一緒にできそうな仕事を持ち込んでもらう。

福田氏は「自分の役割は、ハプニング的な出会いを演出したり、来訪者同士の接点を作ったりすること。パブリックリレーションの場として、一方的ではなく相手を理解した上で、常に自分が相手に貢献できることを探っている」という。

「ニカイ」の利用料は無料(三重県桑名市)

このような場づくりが、日本全国で80カ所以上も同時多発的に生まれている。ミレニアル世代が形成する場づくりは、少しずつ、しかし確実に、従来のコミュニティデザインでも地縁・血縁でもない、次世代のコミュニティを生み出しつつある。

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高馬 卓史

1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。総合情報誌『選択』編集長を経て、独立。現在は、CSR、ソーシャルビジネス、コミュニティ・デザインなどをフォロー中。執筆記事一覧

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