Creating Shared Value(CSV:共通価値の創造)で目指す社会課題としてSDGsを活用すれば、取り組もうとする課題が客観化し説得性も高まる。このようにCSVの実践にSDGsを活用すれば、いわば「バージョンアップしたCSV」につながっていく。これが企業SDGsの要諦である。まちづくりCSV/SDGsについては、「第3回未来まちづくりフォーラム」(2021年2月24日横浜にて開催)が参考になる。(千葉商科大学基盤教育機構・教授/CSR/SDGsコンサルタント=笹谷秀光)
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CSVの実践としてのSDGs
企業SDGsの実践では、競争戦略の権威であるマイケル・ポーターらが提唱した、企業による社会課題解決と経済価値の同時実現を狙う “Creating Shared Value”(CSV:共通価値の創造)が参考になる。この考え方をうまく取り入れ、本業を活用することが重要だ。
SDGsができる前は、CSVは、米国発の概念で、多国籍企業などの事例で説明されわかりにくい面もあり、解決を目指す社会課題が主観的であるなどの批判が多かった。
そこでCSVで目指す社会課題がSDGsであると理解することで課題が客観化し説得性も高まる。このようにCSVの実践にSDGsを活用すれば、いわばバージョンアップしたCSVにつながっていく。これが企業SDGsの要諦である。
CSVの3つの方法
CSVの実践としてSDGsを活用するにあたっては、競争戦略としてポーターらが提示した、①製品・サービスの見直し②バリューチェーンの見直し③クラスター(関係者間での集積構造)の形成――という3つの方法が、企業の規模を問わず有用だ。
この3つの方法は相互に関連するが、主としてどの方法を使っているかという点と、連携の方法に着目して事例を見ていくと、まちづくりでは、特にクラスター(関係者間での集積構造)の形成が重要だ。
クラスターのCSVの代表的事例は、コアになるICT企業の進出に伴いその周りに関連企業が集積したシリコンバレーである。また、自動車産業などの自動車産業コミュニティができる。これらを意識的にクラスターとして形成していくことにより付加価値が高まるという考え方である。