東日本大震災の復興支援を始めて10年を迎えたキリンホールディングスは、復興支援で学んだCSV経営をコロナ禍からの回復に生かす考えだ。同社では、寄付だけでなく、事業で東北復興を応援してきた。特徴は、地域課題を起点に事業を構築している点である。この考え方をベースに、コロナ禍であぶりだされたアルコールの負の側面への対応や脱炭素化を加速していく。

復興支援を10年続けてきた歩みを会見で話したキリンホールディングスの溝内・常務=2月18日

■復興を応援、10年で65億円超拠出

キリンの復興支援は、同社のキリンビール仙台工場が東日本大震災によって、甚大な被害を受けたことから始まる。サプライヤーの操業再開や地域の雇用維持のために早期の工場再開を目指した結果、半壊した工場はわずか8カ月で操業再開を果たす。

311で被災したキリンビール仙台工場

一方で、多くの地域では復旧・復興が進まない状況であり、同社は地域のために何かできることはないかと考える。そうして立ち上げたのが、約65億円超を拠出してきた「キリン絆プロジェクト」だ。

まず、同プロジェクトが行ったことが被災地でのボランティアである。グループ全体でボランティアを募り、漁業支援を中心に地域のニーズに合わせて活動した。その後は、農業機械の購入支援や養殖設備の復旧支援を行った。

キリンならではの取組みも始めた。日本サッカー協会とのつながりを生かして、子ども向けのサッカー教室や独自で持っている植物大量増殖技術を海岸の防災林を再生させるため、クロマツの苗木づくりに活用した。

宮城県沿岸地域での防災林再生活動

こうした活動を行う中で、寄付やボランティアなどフィランソロピー活動の持続性の限界を痛感する。そこで同社が着目したのが、社会課題を事業で解決するCSV(Creating Shared value)の考えだ。

■地域の課題解決から生まれた「氷結」

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