地域現場に密着して、各地域が抱える課題を起点に事業を生み出していく。その象徴が、2013年から展開する福島県産の果実を使った缶チューハイ「氷結」である。原発事故の風評被害を受ける福島県産の農産物に対しての取組みだ。

左から、福島産和梨 (2013年)、福島産桃(2015)、ふくしまポンチ(2018)

さらに、日本産ホップ最大の産地である岩手県遠野市に、農林中央金庫とともに農業法人Beer Experienceを立ち上げる。ホップ産地の創生やクラフトビールの振興を目指した。遠野ホップの収穫祭への来場者数は2015年には2500人だったが、4年後の2019年には約5倍となる1万2000人が来場した。

その他、グループ各社の営業活動の中で、「復興支援」を押し出すようにしてきた。活動を始め10年を迎えた今、同社は何を考えているのか。同社の溝内良輔・常務は「絆プロジェクトでつちかったつながりを土台として、地域課題の解決を加速していきたい」と強調する。

具体的に挙げた取り組みは3つだ。一つ目は、2019年から被災地の地域課題解決を支援している「東北絆テーブル」の一般社団法人化の支援。二つ目が、東北にホップとクラフトビールの産業クラスターをつくること。国際的にクラフトビールは成長産業の一つとして注目されている。最後が、気候変動対策として温室効果ガスの削減だ。キリンビール仙台工場に最大2メガワットの太陽光発電を今春に導入予定だ。

震災発生年から続けている寄付付き商品を今年も展開する。「小岩井 純水東北ミックス(3月2日発売)」や「一番搾り 東北に感謝デザイン(3月9日発売)」などを販売する。

コロナ禍からの回復にも復興支援で学んだCSV経営を役立てる考えだ。溝内常務は、「CSV経営で、Build Back BetterやGreen Recoveryを具現化していきたい」と話す。重点分野としては、「健康」「地域社会」「環境」の3つを挙げた。

コロナ禍では、免疫低下や精神的ストレスの悪化、感染症触増などアルコールの負の側面があぶりだされた。溝内常務は、「酒類メーカーの責任として、デジタルマーケティングなどの自主規制を強化とノンアルコールなどを充実させたい。さらに、ヘルスケア事業を立ち上げて、アルコールへの依存度を低減する取り組みを行いたい」と語った。

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