「エネルギーロス(資源のムダ使い)×中小企業の経費節減」がテーマであり中小企業を中心に仕事を請け負うのだが、当時の業界は無料診断が前提の時代だった。そこで報酬を得るのは大変なことであり、3年近く退職金を取り崩す生活が続いた。
小野村さんの差別化のポイントは、なるべく顧客に財務負荷をかけない形での現場実測をベースとした省エネ診断であった。徐々にその価値と成果が認められ信用がついてきて環境省や埼玉県といった行政の認定を受け、事業は少しずつ軌道に乗っていった。
シニア起業を考える皆さんへのアドバイス
60歳になっていきなり起業の選択肢を考え始めたのでは遅すぎると小野村さんは指摘する。仮に60歳で退職し、起業を想定するのであれば50歳前後から準備し始め、できればその手前で起業するのが理想的だと。最も大事なポイントは「気力」だという。会社に残留し窓際となることで目標を見失い「気力」が萎えてしまうと致命的だという。そこからでは巻き返しが効かないと。

現在そして将来
自分の得意なことで起業を果たし社会にも貢献し、小野村さんは今仕事が楽しいという。明確な自己ミッションを持ち、その実現に立ち向かう小野村さんは幸せ者である。
もちろん苦労はあるが自分の人生を生きているという実感が伴っているのだろう。最近は地球温暖化問題という大きな課題に危機感を持って他者と連携して取り組もうとしている。世界中の人々が本気で自分ごととしてこの問題に取り組まなければ、次世代の良き地球はなくなると真剣な顔で警鐘を鳴らす。

小野村 一博さん
社会起業大学 第7・8期修了
株式会社エナジー311 代表取締役社長
林 浩喜
社会起業大学 学長