2020年5月の決算発表会で、豊田章男社長がSDGsに言及したスピーチは注目を集めた。「世界中で自分以外の誰かの幸せを願い、行動できるトヨタパーソンを育てることが私に課せられた使命である。すなわち、SDGsに本気で取り組むことを意味する」。

豊田社長はあらゆる場で、「サステナビリティ」「SDGs」と発信するようになり、社長自身が考えた言葉である「Youの視点を持った人材」の育成に力を入れてきた。「Youの視点」とは、誰かのために考えて行動できる人材という意味だ。重要KPIにも非財務の項目を入れ、人事評価にも「人間力」など非財務項目を入れるようになった。

変革を勝機とすべくトヨタ自動車では、自社のことを自動車メーカーから「モビリティカンパニー」と定義するようにした。ハードをつくる会社ではなく、あらゆる人に「移動」を提供する会社として、従来の領域に縛られることなく事業に取り組む。

その一つが、静岡県裾野市で立ち上げる実証都市「ウーブン・シティ」だ。街そのものを舞台に実証実験を繰り返す。2月23日に鍬入れ式が行われたばかりだが、この土地には、課題を抱える傾向にある子育てファミリーと高齢者、そして、課題を解決する「発明家」と呼ばれる人が住むと発表されている。

サステナビリティの潮流を受けて、同社では、非公式だが、社会課題を解決したいと志す社員による有志プロジェクトが相次いで立ち上がっているという。その主役は、20~30代の若者たちだ。

世界中でガソリン車の規制が広がる中、「規制」ではなく、自主的な発想から解決策をひねり出す戦いに挑んでいる。

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