環境・倫理・デジタル化、ポストコロナの企業経営

次に、Dr. Daniel McFarlane(Director, MA in Social Innovation & Sustainability, School of Global Studies, Thammasat University, Thailand)から、東南アジアにおけるロックダウンの経済的影響とプラットフォーム経済の勃興を通して、インクルーシブ経済の構築、労働条件の改善、廃棄物の削減などサステナビリティへの長期的影響を検討した研究の報告が行われました。

ASEAN諸国ではインフォーマルセクターにおける労働者に関する正確な統計資料がありません。正規雇用で働く人々が解雇された場合インフォーマルセクターに流入しますが、その実態がつかめないのです。そうしたインフォーマルセクター労働者は、コロナ前の収入の27%程度(約115USドル)しか得ていないとの報告があります。

一方、GAFAと呼ばれるIT巨大企業がブームを迎えたように、東南アジアでも2020年はeコマースにとって極めて重要な年となりました。

タイでは、プラットフォームビジネス企業Lazadaで新規開設店舗が前年度比75%増、フードデリバリーを手がけるGrabグループも前年度比70%の増収となっており、こうした新しいデジタルサービスを利用する消費者の増加、プラットフォームビジネスへ流入する労働者の増加がみられます。

これらは、ゴミ問題、飲食業界の小規模企業にとっての手数料問題、労働者の雇用不安の増大、プラットフォームビジネス運営者と労働者間の摩擦などを生み出しており、今後、政府とプラットフォームビジネス事業者が協力して解決にあたる必要があります。

全ての人がサービス利用できるようインターネットへのアクセス改善やスキル習熟を図るほか、労働者や中小企業への支援を促進する必要がある、との指摘がなされました。

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

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キーワード: #サステナビリティ

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