東電福島第一原発事故発生から10年
10年前の3月11日。
東京電力福島第一原発は、地震で停電になり、津波で非常用電源が故障し、全電源喪失に陥りました。

原発は電気がなければ核燃料を冷やすことができません。
原子炉内部の核燃料棒が高温になり大量の水素が発生、建屋が爆発して、膨大な放射性物質が大気中に拡散しました。
グリーンピースが福島での放射能調査に着手したのは、事故から2週間後のことです。
当時、政府は東電福島第一原発から半径20キロ圏内の住民に避難指示を出していましたが、調査によって、原発から風下方向に40キロ以上離れた場所でも高濃度の放射能汚染が発覚。この結果を踏まえて、同心円状の避難区域設定ではなく、科学的データに基づいた避難指示と住民への情報開示・支援を政府に求めました。
原発事故は終わらない
以後10年間に、福島県を含む全国各地で実施してきた放射線測定調査は、32回を数えます。
市販の食品・飲料の調査も含めると、40回をこえました。
グリーンピースは調査結果を分析し、科学的根拠に基いて、政府と企業に責任ある行動を求め続けてきました。すなわち、危険な原発をやめ、安全な自然エネルギーに転換し、消費者の知る権利をまもることです。
この活動は、グリーンピースを信頼し、支持し、ご寄付でご支援くださったサポーターの皆さまのお力で実現しました。
心より深く感謝申し上げます。
10年にわたる調査でわかったのは、事故は終わらないという苛酷な現実でした。
グリーンピースが調査した除染が終わった地域のほとんどの測定値が、政府の除染目標レベル(政府による換算で毎時0.23マイクロシーベルト)を大きく上回っていることが判明しています。
しかも、国の直轄の除染対象地域で、政府が実際に除染したのは約15%にすぎません。これは、福島県のおよそ7割を山林が占めていますが、対象地域はより山林の割合が高く、山林はほとんど除染されないためです。
調査では、自然豊かな山林に堆積した放射性物質が、風雨によって運ばれ、除染が終わった地域を再汚染すること、地下水や川や植物など生態系を循環して、ゆっくりと環境を汚染していくこともわかっています。