オルタナオンラインは2012年、「障がい者雇用で企業の業務パフォーマンスが向上する」という影山摩子弥・横浜市立大学都市社会文化研究科教授の研究を紹介した。影山教授は2019年から2020年にかけて、三重県伊賀市にある複数の企業の調査を行い、「障がい者が組織の心理的安全性を高め、労働生産性を改善する」という障がい者雇用のシナジー効果を明らかにし、改めて本サイトに寄稿して頂いた。

障がい者は企業の戦力になるだけではなく、職場のレイアウトや仕事の流れを変えたり、社内のコミュニケーションを活性化したり、社内の人間関係を改善したりするというシナジー効果(相乗効果)をもたらすことによって、会社の業績にまで影響する可能性がある[1]。

人手不足に悩む中小企業にとって、障がい者の戦力化は、課題解決の道を示す。他方、後者のシナジー効果は、低成長の中で、ワークライフバランスに取り組まねばならない企業にとって、労働生産性を高める要因として大きな意味を持つ。

後者のシナジー効果は、障がい者雇用をきっかけに、職場のレイアウトや作業の流れを変更したりすることによって健常者社員が働きやすくなることでも生まれるが、健常者社員間でのコミュニケーションの活性化や人間関係の改善でも生まれる。

前者のケースは分かりやすい。しかし、後者については、人間関係がどのような経緯で改善され、それが業績にまでどのようにしてつながるのかというメカニズムの詳細は分かっていなかった。

そこで、私は、2019年から2020年にかけて、M.I.Eモデルとして注目を浴びている三重県での取り組みにおいて重要な役割を果たす複数の企業の調査を行った。三重県の事例は、多くの企業や就労支援施設が地域ネットワークを形成し、障がい者のキャリア開発も視野に入れつつ、施設外就労を効果的に用いる先進性を持つ。

障がい者の存在が心理的安全性を高め、健常者社員の業務を改善

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