環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワークは4月27日、森林破壊と人権の分野で企業の格付けを行った。対象となったのは、大手消費財企業と銀行の17社だが、調査の結果、「サプライチェーンや投融資で森林破壊と人権侵害を止めるために適切な措置を講じている企業と銀行は一社もない」と結論付けた。日本企業の日清食品ホールディングス、花王、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が評価対象になったが、いずれも最低ランクだった。(オルタナS編集長=池田 真隆)

レインフォレスト・アクション・ネットワークが発表した森林破壊と人権の二分野で評価した企業ランキング クリックで画像が拡大します

このランキングは、日本企業の日清食品ホールディングス、花王、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)を含むグローバル消費財企業と銀行の17社を対象に実施した。森林と人権分野の10項目を20点満点で評価した。主な項目は下記の通り。

・「森林減少禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止」(NDPE)採用:パーム油や紙パルプなど森林破壊を引き起こす産品事業の生産・投融資に欠かせない国際基準

・「森林フットプリント」開示:サプライチェーンや投融資先の事業が影響を与える森林の総面積

・「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)原則」の実施:先住民族および地域コミュニティの権利尊重

・暴力や脅迫への「ゼロトレランス」(不容認)方針の有無

・NDPE方針遵守の証明・独立検証、など

得点に合わせてA(18〜20点)、B(15〜17点)、C(12〜14点)、D(5〜11点)、不可(0〜4点)で評価し、最も高評価だったのはユニリーバだったがCランクにとどまった。日本企業はいずれも最低ランクの「不可」だった。

日本企業は3社とも方針にNDPEを限定的に採用していたが、「森林フットプリント開示」「FPIC原則の実施」「ゼロトレランス方針の有無」「NDPE方針遵守の証明」では得点がなく、総合点は2〜4点という低評価に終わった。

レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表の川上豊幸氏は「日清食品、花王、三菱UFJはいずれも低評価だったのは残念です。3社ともベストプラクティスである『森林減少禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止』(NDPE)を方針に採用したことは評価できます。しかし同時に、自社のサプライチェーンや投融資先で起きている人権侵害を止めるための方針策定が急務です。さらにNDPE方針の適用セクターの拡大や遵守のための独立検証、森林フットプリントに代表される情報開示といった、具体的な取り組みを進める必要があります」と語った。

評価対象となった日本企業各社の点数と評価概要、改善点は下記の通り。

日清食品ホールディングス(2点):グループ全体の調達方針に「NDPEを支持する」と記載しているが、消費財企業10社で最も低評価だった。改善のためには、グループ調達方針に供給業者が遵守すべきNDPE項目を明記し、供給業者にNDPE採用を義務付ける必要がある。またパーム油の搾油工場リストといった供給業者の情報開示を通して、生産地の現状把握と問題対応のための体制強化を行う必要がある。持続可能なパーム油100%調達を2030年までに達成するという目標も大幅な前倒しが必要。

花王(3点):原材料調達ガイドラインで森林破壊ゼロを支持し、人権方針で人権尊重を支持している。供給業者や合弁企業側のグループ全体でのNDPE遵守を要請はしているが、NDPE方針採用の義務化が必要。2021年の活動方針に「人権擁護者への暴力や不当告発、脅迫などを容認しない」とあるが、企業方針となっていないので国際基準のゼロトレランス・イニシアティブ(注6)に沿った企業方針としての公表が必要。そしてインドネシアでの森林フットプリントを作成し公表する迅速な動きが求められる。

MUFG(4点)環境・社会方針を4月26日に改定し、投融資先に「NDPE遵守の公表」の要求を追加したがパーム油の農園企業に限定され、パーム油購入企業や、紙パルプや大豆など他の森林リスク産品セクターには適用されなかった。MUFGはパーム油セクターへの融資・引受額が東南アジア以外の地域に本社を置く銀行では最大で、紙パルプ産業にも多額の融資を提供している。今後、NDPE方針の適用拡大と、投融資先にNDPE方針遵守のための独立検証を求めていくことが課題になる。