飲料水や日用品、iPhoneアプリなど寄付付き商品の登場が相次いでいるが、そもそも日本の寄付市場はどれくらいあるのだろうか。日本ファンドレイジング協会(東京・港)は、日本初の寄付市場統計調査『寄付白書』をこのほど発表した。個人寄付と法人寄付を合わせると一兆円規模になることがわかった。
ボルヴィックの「1リッター・フォー・10リッター」や王子ネピアの「千のトイレプロジェクト」など寄付付き商品に代表されるように、社会問題の解決を志向しながら自社の売上高も上げることを目指す「コーズ・リレーテッド・マーケティング(CRM)」。新しいマーケティング戦略として、日本でも注目を集めている。NPOにとっては、企業とコラボレーションすることで新たなファンドレイジング(資金調達)の展開が望める。
日本では海外に比べて、寄付文化が根付きにくいとよく言われるが、日本の寄付市場はどのくらいあるのか。これまで、統計的なデータが無かったため、日本の「寄付市場」の全体像や変化が見えてこなかった。そこで、日本ファンドレイジング協会は、日本初の寄付市場統計調査『寄付白書』を発行した。
『寄付白書』によると、日本人の年間寄付総額は5455億円になるという。また、寄付を行った人は3766万人で、これは日本の15歳以上人口の約34%に相当する。日本の企業の年間寄付総額は、4940億円(2008年度)で、法人所得に占める割合は1.4%に至る。個人と法人の寄付額を合わせると一兆円を超える。
同協会がインターネット調査(13890人対象、複数回答可)を行ったところ、個人による寄付の手段は、募金箱が53%、街頭募金が32%で大部分を占めた。インターネットの普及により新しい寄付の形として増えてきたクリック募金などのオンライン寄付は14.7%だった。
英国発祥のオンライン寄付サービス「ジャスト・ギビング」を日本で開始したジャスト・ギビング・ジャパン(東京・港)は、2010年3月から12月までの268日間で、寄付総額2000万円を突破したことを発表した。これは、すでに1200万人が利用し、累計7億ポンド(910億円)の寄付を集めた英国ジャスト・ギビングを上回るペースだという。
CRMやオンライン寄付など、手軽に寄付できる仕組みは、日本の寄付市場を活性化させるカギになりそうだ。(オルタナ編集部 吉田広子)