
ビジネスを通じて、社会課題の解決を目指す「社会起業家」。その全国大会ともいえる「社会イノベーター公志園」のグランプリが、在宅医療を中心とした「高齢先進国コミュニティ」の構築を目指す、祐ホームクリニック・武藤真祐院長に決まった。「社会イノベーター公志園100人委員会」が2011年1月22日に表彰、発表した。実行委員長は、武田薬品工業・長谷川閑史代表取締役社長が務めた。
武藤氏は6歳のとき、野口英世氏に憧れ医師になることを志す。02年に東京大学大学院医学系研究科博士課程を修了し、循環器内科医になった。04年から2年半、宮内庁侍住職侍医も務めた。その後、先輩の手伝いで訪問診療に携わるようになり、高齢者が社会的に孤立している現場に衝撃を受けた。
そこで、24時間365日在宅医療を専門に行う祐ホームクリニック(東京・文京)を2010年1月に立ち上げた。在宅医療とは、単発的に訪問し診療を行う「往診」とは異なり、医師や訪問看護師、薬剤師などの医療関係者が、定期的・継続的に患者宅に訪問して行う診療のことである。同クリニックでは、複数の専門医によるグループ診療の体制をとっている。
武藤氏は、「今回、全国大会に出場した社会起業家16人にエールを頂いたと感じます。私はフリーライダー(ただ乗りする人)にはなりたくない。先人の努力の上にある社会で生き、新しいものを生み出していきたい」と決意を語った。(オルタナ編集部 吉田広子)