発達障がい児にオーダーメイド授業を

グランプリを受賞した山﨑氏(右から2番目)。発明会館(東京・港)で

社会起業家を育成するビジネススクール「社会起業大学」(東京・千代田)。受講生の事業構想を表彰する「ソーシャルビジネスグランプリ 2011冬」が、2011年2月6日に開催された。グランプリには、発達障がい児向けのオーダーメイド・スクール「ギフター ラボ」の事業化を目指す山﨑誠氏(41)が選ばれた。

山﨑氏は、建設会社に勤務する会社員で、発達障害を持つ二児の父親だ。発達障がい児には、算数の九九を暗唱ではなく目で暗記したり、本を集中して数時間読み続けたりするなど豊かな才能がある。一方で、社会性に乏しい行動をとってしまうことがあるため、通常の集団授業を受けることが難しく、教育の機会が限定されてしまう。そこに疑問を持った山﨑氏は、「子どもたちそれぞれの才能や強みを生かし、将来自立できるような教育支援をしたい」という思いから、「ギフター ラボ」を構想した。彼らを「障がい児」とは呼ばずに、天から与えられたギフトを持つ「ギフテッド」と呼んでいる。

「ギフター ラボ」では、先生4人に対して生徒が1人という少人数制を提案している。教師役には、地域に住む社会人がギフター(ギフトを与える人)として、ボランティアで参加する。授業は、体験型とソーシャルネットワークを利用したイーラーニング型で展開する。現在はギフター候補を募集している段階だ。

山﨑氏の受賞は会場の8割以上の推薦と審査員の全員一致により決定した。ソフィアバンクの代表でもある田坂広志・審査委員長は「日本の教育全体にパラダイム転換をもたらすような潜在力を秘めた提案だった。教育の根本的なあり方に対する深い投げかけとして事業化に結び付けてほしい」と期待を込めた。(オルタナS編集部 高橋豊美)


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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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