『プラスチックごみ問題入門』(緑風出版、栗岡理子著)は、環境経済学の専門家で環境ジャーナリストの筆者による「私たち一人ひとりが自らの暮らし方を変える」指南書であり、「脱プラをめざす声を政治家や行政、産業界に届けようとする」提言書である。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

プラスチックごみ問題入門

2020年10月アイルランドのダブリン大学の研究チームが、英科学誌「ネイチャー・フード」に「プラスチック製の哺乳瓶で授乳される乳児は、生後1年間で毎日160万個のマイクロプラスチック粒子を摂取している可能性がある」との論文を発表した。

マイクロプラスチックは5mm以下の小さなプラスチックを指す。

従来は川から海へ流れ、海や海の生物の汚染を通して人間に影響を与えると懸念されていたが、そればかりではなく私たちの暮らす陸上や空気にまで入り込んでおりマイクロプラスチック拡大の主要ルートの一つが「大気」だと分かってきた。

レジ袋やペットボトルの破片は紫外線や波の影響で細かい破片になる。合成繊維の衣類を洗濯した際に出る繊維くず、走行時に車のタイヤが路面との摩擦により出るタイヤ摩耗粉などもマイクロプラスチックである。

筆者は「科学者と企業には、再生可能、生分解性、公正で倫理的な方法で生産されたマイクロプラスチックの発生しにくい素材を、持続可能な量だけ使う社会のための技術の開発を切望する」と強く訴える。

日本ではEUや諸外国に比べリサイクルに関する各種法律の対象範囲が狭いと言う問題意識から、「早急に使い捨てのプラスチックを大幅に減らすための法律を整え、使った資源をきちんと循環させる仕組みを作る必要がある」と強調する。

そして私たち一人ひとりに「マイバック、マイボトル、マイハシを持ち歩くことで、レジ袋やペットボトル、カップ、フォーク、マドラーなど使い捨てプラは使わない。日用品や衣類を新調する時は、極力プラスチックを避ける。店ではトレイに入っていない商品を選ぶなどから始めませんか」と問いかける。