映像を通して、地球の環境問題を考える「アース・ビジョン 第19回地球環境映像祭」が、四谷区民ホール(東京・新宿)で3月5日に開催された。環境映像部門のアース・ビジョン大賞は、タイの稲作農家を追った「稲作ユートピア」に決まった。
「稲作ユートピア」は、タイ北部の農家生まれ、ウルボン・ラクササド監督による作品。審査委員の一人、ジャン・ジンル氏は、「タイについては、政治運動は大きく報道されているが、農業の実態についてあまり知られていない。日本でも農業再生の動きがあるが、本作は、農業の原点を考えさせられる作品だった」と評した。
「子どもアース・ビジョン大賞」には、イランのアニメーション「母の日のおくりもの」が選ばれた。イランのファールス地方に住む少年が、ラジオで「母の日」を知り、最高のプレゼントとは何かを探す物語。
優れた環境ドキュメンタリーを表彰するグリーン・プレスクラブ賞には、「未来への診断書――水俣病と原田正純の50年」が選ばれた。半世紀にわたって、現場に足を運び、患者の声に耳を傾けながら水俣病を研究してきた精神神経 科医・原田正純さんと患者の姿を追った。「水俣病とは何か」、改めて問いかける作品である。
「アース・ビジョン 地球環境映像祭」は、地球サミットが行われた1992年に、アジアで初めての国際環境映像祭として始まった。環境映像部門には、19の国と地域から93作品、子どものための環境映像部門には、18の国と地域から70作品の応募があった。(オルタナ編集部 吉田広子)