第26回参議院議員通常選挙の投開票が7月10日に行われる。参院の定数248のうち、124議席(選挙区74議席と比例区50議席)と、神奈川選挙区の欠員1を埋める「合併選挙」を合わせた計125議席を争う。投開票を前に、オルタナ編集部は各政党にESG(環境・社会・ガバナンス)の方針について聞いた。(オルタナ副編集長=吉田広子)

選挙のイメージ

■ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する質問(全7問)
オルタナ編集部は、自由民主党(自民)、立憲民主党(立民)、公明党(公明)、日本維新の会(維新)、共産党(共産)、国民民主党(国民)、れいわ新選組(れいわ)、社民党(社民)、NHK党(N党)の9政党にアンケートを実施した。6月30日時点での回答は次のとおり。※7月4日10時に維新を追加して再配信します

2030年、2050年に目指すべきエネルギーミックス(電源構成)

(自民)
2030 年・・・ 再生可能エネルギー36~38%、原子力20~22%、火力(LNG20%、石炭19%、石油2% 水素・アンモニア1%)

2050 年・・・ 2030 年までの取組みを踏まえて検討します。

(立民)
2030年・・・再生可能エネルギー50%、その他50%
2050年・・・再生可能エネルギー100%

(公明)
2030年・・・再生可能エネルギー36~38%(研究開発の成果の活用・実装を進めながら、38%以上の高みを目指す)、原子力発電20~22%、石炭火力発電19%、石炭以外の火力発電(天然ガス、石油)、その他(水素など)水素・アンモニア発電で1%

2050年・・・エネルギー安全保障の強化と2050年カーボンニュートラルの両立へ様々なシナリオを想定し柔軟に見直しつつ、イノベーションの実現に向けグリーン成長戦略を推進、再生可能エネルギー(約50%~60%)を最大限導入する。水素・アンモニア発電10%、原子力・CO2回収前提の火力発電が30~40%程度(火力発電の次世代化・高効率化を推進しつつ、非効率な火力のフェードアウトに着実に取り組むとともに、脱炭素型の火力発電への置き換えに向け、アンモニア・水素等の脱炭素燃料の混焼やCCUS/カーボンリサイクル等のCO2排出を削減する措置の促進に取り組む)

(共産)
2030年:再生可能エネルギー50%、ガス火力50%
2050年:再生可能エネルギー100%

(維新)
具体的なエネルギーミックスについては、産業流出を招かない現実的な構成を検討中である。

(国民)
2030年代には電源構成比で再エネ比率が40%以上となるよう着実な取り組みを進めます。基本的に第6次エネルギー基本計画を支持します。

(N党)
2030年・・・原子力20%、天然ガス20%、石炭19%、石油2%、水素1%、太陽光16%、水力11%、バイオマス5%、風力5%、地熱1%

2050年・・・核融合30%、地熱10%、メタンハイドレート10%、太陽光20%、水力15%、バイオマス8%、風力7%

炭素税の導入を支持するか

選択肢:□はい □いいえ □分からない 
その理由(自由回答)

(自民)
選択肢:その他
その理由:今後10年間に官民合わせて150兆円超の投資を実現するため、成長促進と排出抑制・吸収を共に最大化する効果を持った、「成長志向型カーボンプライシング構想」を具体化し最大限活用します。

(立民)
選択肢:いずれでもない
その理由:全体としての税負担の軽減を図りつつ、気候危機対策を推進するためのカーボンプライシング・炭素税のあり方について税制全体の見直しの中で検討を進めます。

(公明)
選択肢:分からない
その理由:産業競争力の強化と環境投資の拡大を両立しうるカーボンプライシングの在り方の検討を行います。

(共産)
選択肢:はい
その理由:炭素税は、スウェーデンではCO₂ 1トン当たり約1万7000円、フランスでは約5600円を課していますが、日本では温暖化対策税で1トン当たり289円と極めて低額にとどまっています。炭素税などのカーボンプライシングは化石燃料の使用を抑制する効果があるとともに、当面の財源にもなります。炭素税は、脱炭素が完了するまでの一時的な財源ですから、脱炭素に必要な公的な事業、支援策の財源としても検討していきます。

(維新)
選択肢:分からない
炭素税だけでなく排出権取引などのあり方を積極的に検討すべきである。

(国民)
選択肢:はい
その理由:気候危機に対処し、加速する技術革新を支える企業や産業を支援するために、脱炭素税制を含む税制改革を進める必要があります。

(N党)
選択肢:いいえ
その理由:産業が空洞化する恐れがあるため                  

議員と党員の女性比率

(自民)
議員:10% 党員:37%

(立民)
議員:19.1%  
党員:不明(立憲民主党の党員申し込み書は、ジェンダー平等の観点から、性別記載欄を設けておりません)

(公明)
議員:31.8% 
党員:性の多様性を尊重する観点から党員の女性比率については公開しておりません。

(共産)
国会議員:30% 地方議員:38% 党員:49%

(維新)
議員: 16.5% 党員: 41.2%

(国民)
議員:21.7% 党員:非公表

(N党)
議員・・・9%
党員・・・不明

今後、日本で本格化する人口減少についてどう考えるか

選択肢:□人口減少しないように努力すべき □ある程度の減少は受け入れるべき □その他(自由回答)

(自民)
人口減少しないように努力すべき

(立民)
人口減少しないように努力すべき

(公明)
人口減少しないように努力すべき

(共産)
ある程度の減少は受け入れるべき

(維新)
その他(国の政策として、維新がリードしてきた教育無償化に加え、出産にかかる医療への保険適用と出産育児バウチャーの支給で出産の実質無償化を実現し、子育て世帯を支援して少子化対策とする)

(国民)
その他(急激な人口減少は、社会保障制度をはじめとする社会システムの崩壊につながります。一方、人為的に人口を増加させることは容易ではありません。結婚や出産を希望する男女が、経済的な理由で諦めることがないよう、給料が上がる経済を実現します)

(N党)
人口減少しないように努力すべき

ガバナンス方針はあるか

選択肢:□ある(その内容) □ない

(自民)
ある
自民党は今年5月、ガバナンスコード(党運営の基本指針)を決定しました。同コードの内容は、「政策立案力の強化」「多様な人材の育成と登用」「地方組織との連携強化」「広く開かれた対話とデジタル技術の活用」「党運営の新たなルールの確立」――の五つが柱です。適切な執行と規律を担保してガバナンス機能を高め、サステナブルを実現していくものとなっています。

(立民)
ある
立憲民主党党規約が制定されています
https://cdp-japan.jp/about/byelaw

(公明)
ある
公明党の全国大会や全国代表者会議など、党の議決機関を経て定められた内部組織に関する各種の規定として、公明党規約があります。

(共産)
ある
私たちは営利企業ではないので、通常いわれる「ガバナンス」と同じかは定かではありませんが、政党が「健全な運営を行う上で必要な管理体制の構築や内部を統治する」観点で言えば、次のようになります。党規約によって、2年に1度、全国の党組織から選ばれた760人の代議員による党大会が開かれ、さらに大会で選出された210人の中央役員が参加する会議が半年ごとに開かれます。日常的に有権者からの電話・メールで質問や意見を受ける「国民の声室」や、党内外からの訴えを受け付けて解決を図る訴願委員会などを設置しています。

(維新)
ない(本年度の活動方針にガバナンスコード作成を入れています)

(国民)
ある
組織の意思決定のルール等は党規約、倫理規則等によって定められています。

(N党)
ない                               

コンプライアンス方針はあるか

(自民)
ある
「党則」や「規律規約」において、汚職、選挙違反等刑事事犯への関与や暴力行為について処分する旨を規定。また、ガバナンスコードでは、継続的に各種コンプライアンス研修を実施する旨や、コンプライアンス上の疑義を持たれた議員は国民に対して丁寧な説明を行う旨が記されております。

(立民)
ある
立憲民主党倫理規則が制定されています。
https://cdp-japan.jp/about/ethics

(公明)
ある
前述の公明党規約とともに、中央規律委員会等の機構があります。

(共産)
ある
立法府(国会)に議席を持っている政党として、法令を順守するのは当然であり、国民の厳しい目も注がれています。私たちには独自の規範もあります。営利企業からの献金は金権腐敗につながるとして受け取りませんし、支持していない有権者の分まで受け取ることになる政党助成金(計算上では年間15億円前後)も受け取りません。

(維新)
ある
各議員事務所で作成されていると承知している。

(国民)
ある
組織のコンプライアンスに関する原則、方針等は結党宣言や綱領等で定められています。因みに方向性、運営方針に関しては以下のとおり。
私たちは、「自由」「共生」「未来への責任」を基本理念とします。「公正・公平・透明なルールのもと、多様な価値観や生き方、人権が尊重される自由な社会」「誰もが排除されることなく、互いに認めあえる共生社会」「未来を生きる次世代への責任を果たす社会」を理想とします。この理念の下、穏健保守からリベラルまでを包摂する国民が主役の改革中道政党を創ります。私たちは、民主主義を守り、現在と未来の課題を着実に解決し、国民全世代の生活を向上させます。国を守り、国際社会の平和と繁栄に貢献します。

(N党)
ない

ESG領域で、強調したい方針や取り組み(自由回答)


(自民)
自民党は、選挙公約においてGXなど気候変動を念頭に入れた施策をはじめ少子化対策、人権、コンプライアンスなどについて取り上げているほか、総合政策集であるJ-ファイルにおいても、ESGに関する様々施策を盛り込んでおります。これらについては、党ホームページでご確認いただけますので、ご覧いただければと存じます。(https://special.jimin.jp/political_promise/

(立民)
E:Environment(環境)
プラスチックごみによる海洋汚染が世界的な問題となっていることから、使い捨てプラスチックの使用量を減らすため、党としても、会議でペットボトル飲料を使用しないことにしております。また、脱使い捨てプラスチック社会を目指し、「廃プラゼロ法案」の検討を行っております。

S:Social(社会)
現在、立憲民主党の執行役員12人のうち、半数にあたる6人が女性となっております。また、今回の参議院議員選挙の党公認候補者のうち、50.9%が女性となっております。「#女性の声が政治を変える」を合言葉に、人口の半分を占める女性が政策を立案・決定する政治の場に参画することを促進し、より多様な声が公平に反映され、だれもが生きやすい社会を実現してまいります。

また、立憲民主党は、こうした取り組みも含め、党のあらゆる活動において「ジェンダー平等」を推進し、日本の「ジェンダー主流化」を進めていくことを旨とし、「ジェンダー平等推進本部」を設置しております。

G:Governance(ガバナンス)
立憲民主党は、ハラスメント防止の徹底を図るために「ハラスメント対策指針」を策定し、これに基づき、党本部に「ハラスメント対策委員会」を設置しております。同委員会は、議員を対象としたハラスメント防止や人権尊重のための教育啓発、ハラスメントに関する相談及び被害救済に関する事項を担っています。

(公明)
気候変動対策・持続可能な地球環境をめざし、資源循環の戦略的展開をはじめ、海洋プラスチックごみ対策の推進、食品ロス削減国民運動のさらなる推進、魅力ある自然の保全と活用、生物多様性の確保を推進します。また、わが国ではさまざまな人権課題が生起しています。新型コロナウイルス感染症をはじめ、外国人や性的マイノリティなどのさまざまな要因による差別や偏見を防ぐため、関係省庁、地方自治体が連携して広報や相談体制等を充実するとともに、人権教育、啓発活動の取り組みを一層推進します。さらに、国際保健、栄養、教育、貧困、難民・避難民支援、人権など、人間の安全保障に直結するODAについて、より一層拡充します。

(共産)
梅雨が極端に短くて明けてしまいましたが、まさに異常気象です。E(環境)については、2030年までに世界のCO2の排出量を半分以上減らさなければならないという気候危機打開に全力を挙げたいと考えます。昨年9月に発表した「気候危機打開のための日本共産党の2030戦略」では、2030年度までにCO2を50~60%削減する(2010年度比)ことを目標とするよう提案しています。これを省エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせて実行します。エネルギー消費全体を4割減らし(電力消費を20~30%削減)、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば、50~60%の削減は可能です。さらに2050年に向けて、残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロを実現します。

S(社会)の領域では、貧困と格差の問題に取り組むことが必要です。日本は世界でも異常な「賃金が上がらない国」です。大企業の内部留保への適正な課税で、賃上げと「グリーン投資」を促進します。コロナ危機やインフレのなかで、イギリス(9・5ポンド 1520円)、ドイツ(12ユーロ 1683円 10月から)、フランス(10・85ユーロ 1521円)など、先進国で最低賃金の大幅な引き上げが行われ、アメリカでもバイデン大統領が1950円(15ドル)への引き上げを打ち出しています。中小企業への賃上げ支援を抜本的に強化しながら、最低賃金を時給1500円(月給だと22万5000円程度)に引き上げます。全国一律最賃制を確立します。

Sの領域ではもう一つ、ジェンダー平等が重要です。ジェンダー平等は、誰もが自分らしく尊厳を持って生きることができる社会をつくることを目標とするものです。日本の男女賃金格差は、年収で240万円、生涯賃金だと1億円もの格差があります(国税庁 民間給与実態調査より)。

日本共産党は、男女賃金格差をなくすために、企業ごとに格差の実態を公表させるべきだと政府に迫ってきましたが、やっと政府も企業に男女賃金格差の実態開示を義務づけることになりました。重要な一歩です。企業に男女の賃金格差の実態を正確に公表させるとともに、是正計画の策定と公表を義務づけ、政府がそれを監督・奨励する仕組みをつくるよう、女性活躍推進法の抜本改正などの法整備をすすめます。

(維新)
SDGs への取り組み、特に CO2 排出量や人権等に関する企業の方針や対応が国際的に重視され、経営やビジネスに大きく影響を与え始めていることに鑑み、我が国でも企業の持続可能性を評価する制度を構築する。日本企業の競争力強化に資する国際基準が形成されるよう、能動的な構想提示と交渉を行う。

(国民)
ESGに配慮した行動をするためには、まず「人づくり」だと考え、国民民主党は「『人づくり』こそ国づくり」を公約に掲げています。

(N党)
党の情報の開示には積極的に取り組んでいます。党員の思想や意志に関しては多様性が認められています。

NGOなどが実施した環境や人権に関するアンケート結果

合わせて、NGOなどが実施したアンケート調査や公約比較も紹介する。

●参院選2022選挙公約比較(温暖化対策)(WWFジャパン)
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/5076.html

●各党選挙公約の気候変動・エネルギー政策に関する分析(気候ネットワーク)
https://www.kikonet.org/info/press-release/2022-06-21/26-house-of-councillors-election/

●人権政策に関する、参院選政党アンケート2022(ヒューマンライツ・ナウ)
https://hrn.or.jp/news/22162/

●難民保護や外国人との共生政策に関する各政党マニフェストまとめ(難民支援協会)
https://www.refugee.or.jp/report/refugee/2022/06/election22_2/

●LGBT(SOGI)をめぐる課題に関する各党の政策と考え方についての調査結果報告(LGBT法連合会)
https://lgbtetc.jp/news/2526/

●国内外の子どもの権利に関する参院選政党アンケート(セーブ・ザ・チルドレン)
https://www.savechildren.or.jp/scjcms/press.php?d=3944