電力不足で注目「アンペアダウン」

東日本大震災にともなう発電施設の損壊で電力不足が懸念される中、一般家庭の契約アンペア数を引き下げる「アンペアダウン」が脚光を浴びている。2008年に環境文化NGOのナマケモノ倶楽部が始めた取り組みで、同会には問い合わせやメディアからの取材が相次ぐ。電化生活への依存を振り返り、日々の生活に必要な電力消費量を意識することで節電を促すこの試みだが、今回の電力危機を通じて「継続的な節電」への足掛かりとなるか。

■電力消費を意識 基本料金減のメリットも

東京電力管内のアンペアブレーカー(Wikimedia Commons.)

震災では東京電力、東北電力管内の発電所が深刻なダメージを受けた。福島第一原発は廃炉が確実とみられ、福島第二や女川の各原発、そして鹿島や常陸那珂などの火力発電所も早期の運転再開は困難だ。

現在、東京電力が供給可能な電力は最大で3650万キロワットだが、企業や家庭での節電が功を奏し、また春の気温上昇にも助けられ、電力使用実績は供給限界を約400万キロワット程度下回る状態が続く。これに伴い、週末を中心に計画停電が回避される日が増えている。

家電製品のスイッチをこまめに切ったり、エアコンの温度設定を控えめにしたりするなど、節電は一定の不便を感じる反面、従来の生活でのムダな電力消費に気づく機会にもなっている。ナマケモノ倶楽部の馬場直子事務局長は「節電が大事な今こそアンペアダウンを」と話す。

電気の使用量が契約アンペア数を上回るとブレーカが切れるが、契約アンペア数に余裕があればアンペア数を下げても支障は起きにくく、節電でさらに余裕が生じる。東京電力の場合、家庭での契約アンペア数の変更は無料だ。また、毎月の基本料金が下がるメリットもある。

■夏のピーク控え「継続的節電」が重要

東京電力での今年の夏のピーク時の電力需要は、NPO環境エネルギー政策研究所の推計では5755万キロワットに達し、約760万キロワットの電力不足が見込まれる。同研究所では回避策として、電力会社と工場など大口需要家が取り交わす「需給調整契約」の活用と省エネ、そして節電が重要だと訴える。

アンペアダウンの実行は、夏を控えて節電を持続する動機となることに加え、電化生活を見直すきっかけとしても重要だ。またこの取り組みは、従来の大量消費に甘んじるのではなく、節電しながら手仕事などの生活文化を復権し楽しむ「文化運動」の側面もあわせ持つ。

震災以後、東京電力では契約アンペア数変更の申込受付を中止していたが、4月1日午後から電話での受付を再開。ホームページでの受付も9日から実施予定だ。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年4月2日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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