
香川県高松市の丸亀町商店街が地元自治の努力で復興を遂げ、注目を浴びている。民間主導の再開発で2006年に完成した区域では、開発前の3.3倍に相当する年商33億円を達成し、通行人数は1.5倍に増えた。新たに完成した地区は、地産地消の食や医療サービスが話題となっている。
■土地所有と利用の分離が鍵に
高松市には、8つの商店街からなる高松中央商店街があり、全長2kmのアーケードの一画に丸亀町商店街は位置している。
1986年の瀬戸大橋開通以降、県外資本の大型店に客足を奪われ、バブル期の融資は地価下落に伴う債務超過となり商店主を苦しめた。
このため、丸亀町は地元主導で商店街再生に挑むことにした。法律や町の計画、デザインについては専門知識が必要なことから、都市計画の学識者集団「東京委員会」(小林重敬委員長)を立ち上げ、さまざまな再開発の手法を試すこととなる。中でも土地の所有権と使用権の分離が功を奏した。
60年の定期借地で土地を借り上げ、更地として再開発を始めた。地権者であっても優良な商店主以外は出店を許さない規律が設けられ、街区毎にテーマをもったテナントが立ち並んだ。地権者全員の合意の背景には、400年続くコミュニティの絆があった。
■将来を見据えたまちなか居住の仕組みづくり
住宅整備、医療、介護施設、食、町営の教育施設など、丸亀町は「まちなか居住」を推進する。インフラ整備の整った中心市街地に機能を集積させ、コンパクトに住まうことが少子高齢化時代には必要だというのだ。
「これからは都市計画よりも都市経営が必要」と丸亀町商店街振興組合理事長の古川康造氏は指摘する。「生活者の障害を取り除く法改正は、地域主権でやるべき」とも。
商店街が起業家を支援する「丸亀町ファクトリー」構想もある。地産地消で、ものづくりや人材を育てていく仕組みだ。また、住民の負担金で公共サービスを充実させ、まちの資産価値を上げる仕組みも検討している。
自分たちのまちは、自分たちの手でつくる。地元自治の精神が町の活気を将来へ繋ぐ。(オルタナ編集部=有岡三恵)