
東日本大震災で仮設住宅に入居した被災者らに、食料品の詰め合わせを届ける「ごはん応援箱」プロジェクトが始まっている。名古屋のNPOなどが結束し、7月に入って宮城県山元町や仙台市の仮設入居者約100人に「応援箱」が手渡された。「食」を通して継続的な「心」の支援につなげようという狙いだ。
仮設住宅への入居が進むと、避難所で受けていた食料支援は打ち切られ、自立が求められる。しかし独居の高齢者らは買い物にも出掛けられず、健康を損なって最悪の場合は孤独死に至ることも懸念されている。
こうした事態を未然に防ごうと、ホームレスの人たちへの食料支援を続けるNPO法人「セカンドハーベスト名古屋」と名古屋市内で朝市を開く有機農業グループなど4団体が「なごや食卓応援隊」を結成。6月に被災地を調査し、行政や地元NPOの協力も得て「応援箱」プロジェクトを始動させた。
プロジェクトの参加者は、規定の段ボール箱に指定の食品を詰め、配送料として500円の寄付金とともに事務局に送付する。品目は時季によって変わるが、第1便ではしょう油、砂糖などの調味料やレトルト食品など十数品目を指定。賞味期限内の商品を新たに購入するなどして用意してもらった。
箱の表面には支援者の名前を書いた紙を張り付けるが、オリジナルのメッセージカードなどの同封も歓迎する。事務局が中身を確認した上で封をして、トラックで順次搬送。現地のNPOスタッフが仮設住宅の入居者に箱ごと手渡すという仕組みだ。
今月3日までに山元町に78箱、仙台市に20箱を送り届けた。引き続き第2便として、目標129個を送る予定だ。年末には「年越しセット」などを企画している。
事務局を務めるセカンドハーベスト名古屋事務局長の本岡俊郎さん(64)は「支援する側もされる側も非常に反応がいい。普段から自分の食料を一つ余分に送ろうと思ってもらうことで、被災地のことを忘れない心の支援にもつながっていくだろう」と話している。(関口威人)