ネオニコ農薬からミツバチ守れ――東京でセミナー

ネオニコチノイド系農薬は、ミツバチだけでなく、その水溶性と残効性で土壌や河川を汚染し、そこに生息する多様な生物にも深刻な影響を与える

ネオニコチノイド系農薬の使用中止を目指す「ネオニコチノイド系農薬中止を求めるネットワーク」(代表 藤原誠太/日本在来種みつばちの会会長)は11月12日、セミナー「ミツバチ・生態系・子どもたちを守るために」を開催する。

ネオニコチノイド系農薬とはクロロニコチニル系殺虫剤の総称。昆虫に選択的に対して毒性を発揮する。

1990年代半ばからヨーロッパ諸国で始まったミツバチの大量死は、世界的に広がった。日本でも2005年頃から全国各地で報告されている。その最も直接的な要因として疑われているのがネオニコチノイド系農薬だ。

人など哺乳類には比較的毒性が低いとされている。そのため、一般家庭のガーデニング用から農業用、ゴキブリ駆除、スプレー殺虫剤、新築住宅の化学建材など広範囲に使用される。現在、100カ国以上が農薬としての使用を認可している。

しかし、昆虫の神経系は哺乳類と基本は似ており、ネオニコチノイドが人体へ影響を及ぼす可能性は否定できない。中でも、胎児、小児など脆弱な発達期脳への影響が深刻に懸念される。

ネオニコチノイドはニコチンをもとに開発された農薬であり、母親の喫煙と胎児の脳の発達障害との関連は多くの報告で指摘された。規制が不十分な食品中のネオニコチノイドは回避が難しいのが現状だ。

ヨーロッパ諸国では、ネオニコチノイド系農薬の危険性が認識され規制が始まっている。一方、日本では年々使用量が増加し、ミツバチだけでなく、トンボや貴重な生物が消滅しているとの報告もある。

同セミナーでは、ヨーロッパ養蜂家連盟代表、イギリスのNPO「バグライフ」代表が来日。ヨーロッパにおける規制の現状や、規制に至るまでの取り組み等について講演する。

日本のミツバチ研究の第一人者である大谷剛氏、内分泌攪乱物質の脳神経機能への影響に関する代表的な研究者である黒田洋一郎氏も登壇する。
(オルタナ編集部=赤坂祥彦)

参考URL) NOネオニコ!

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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