農水省、福島のコメ作付け農家の裁量に――原則100ベクレル、全量検査を条件

鹿野道彦農相

福島原発事故を受けて、放射能への懸念から今春のコメ作付けのあり方を検討してきた農林水産省はこのほど、11年産米から1キロ当たり100ベクレル超500ベクレル以下が検出された宮城、福島両県の13市町村57地区について、全袋検査などを条件に作付けを認めることを決めた。

食品の新基準値(同100ベクレル)が今年4月に施行されるため、農水省は100ベクレル超が出た地区のコメ作りを制限するか検討してきた。自治体や農家から反発が相次いでいた。条件付きで農家の裁量に任せることになった。

作付けの条件として、農水省は福島県が計画しているコメの全袋検査の実施に加え、各市町村で作付けする農家の台帳を作って管理するなど、基準値超のコメを流通させない体制を作ることを挙げた。

また、100ベクレル超のコメがごく一部からしか出なかった地区には、市町村が農家の生産を適切に管理できると判断すれば、作付け可能とした。一部市町村は作付けを自粛する方針という。

しかし全袋検査は実施の見通しが立たず、手間に対する地域農家の反発も根強い。農水省は3月上旬にも制限の詳細を定め、4月に正式な政府指示を出す予定だ。(オルタナ編集部=石井孝明)

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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