「眠くなった社員は寝てもよい」――さいたま市のリフォーム会社が昼寝制度を導入

短時間の仮眠をとる社員(写真:OKUTA提供)

住宅リフォームのオクタ(さいたま市、山本拓己社長)は、社員の就業中の仮眠を認める「パワー・ナップ制度」を3月下旬から導入した。

経営陣の提案による同制度に、社員は「居心地の良さを感じる」と歓迎ムードだ。

パワー・ナップ (power-nap)とは、ごく短時間の仮眠を指す。単位時間当たり最大の効果を狙う米国発祥の睡眠法である。同社は、新たな制度を当初「シエスタ制度」と名付けたが、比較的長時間の休憩を指すシエスタよりも適した「パワー・ナップ」に改称した。

同制度では、社員に1日に1回、15~20分の短い仮眠を認めている。事前申請は不要。眠くなったタイミングで、各自が自主的に眠りに入る。

デスクに枕を置いて寝る、言葉や表示で伝えるなど、仮眠中であることが分かるようにすれば、周囲が電話を回さないなど配慮する。

建築業界では、職人が昼食後に少し昼寝をして、午後の仕事への集中力や安全性を高めている。

同社の奥田勇会長は、それをヒントに「全社員に短時間の昼寝を肯定的に認めよう」と発案。経営陣が文献などにあたって、社員の健康や仕事の効率向上にプラスになると判断し、すぐに実施に踏み切った。

実際に同制度を利用している社員は「最初は本当に寝てよいのかという戸惑いがあったが、徐々に周囲に浸透してきた。眠気のある状態で寝ないことに集中しているよりは、10~15分程度の休憩をとったほうが、逆に仕事の効率が上がることを実感している」と、その効果を語る。

山本社長は「昼寝を推奨することによって、健康的で微笑ましい雰囲気になり、大らかでストレスの少ない社内環境になれば」と期待を込める。

なお同社は、3月中旬に「ワークライフバランス委員会」も発足している。社員の多くは子育て中の30代で、産休に入る前の社員や、この春に産休から復帰する社員も数人ずついる。

経営陣が「体のリズム優先で働いてよい」というメッセージを発したことで、社員の安心感や信頼が増すと同時に、適度な自由が認められたがゆえの責任感も生まれている。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)

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瀬戸内 千代

オルタナ編集委員、海洋ジャーナリスト。雑誌オルタナ連載「漁業トピックス」を担当。学生時代に海洋動物生態学を専攻し、出版社勤務を経て2007年からフリーランスの編集ライターとして独立。編集協力に東京都市大学環境学部編『BLUE EARTH COLLEGE-ようこそ、地球経済大学へ。』、化学同人社『「森の演出家」がつなぐ森と人』など。

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