
環境NGOのWWFジャパンが、6月20日に始まるRio+20(リオプラストゥエンティー)を記念して、7日にシンポジウムを開催した。「地球1個分の企業経営〜グリーンエコノミー時代を生きる〜」をテーマに、企業の環境担当者とWWFスタッフらが議論した。
基調講演では、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングのレイ・ブレムナー社長が、事業の2倍成長と環境負荷半減を両立する野心的なビジョンを示した。
続いて登壇した佐川急便、日本コカ・コーラ、日本テトラパック、UDトラックスは、日本が国際的な枠組みから外れる2013年以降を含め、気候変動対策を自主的に進めると発表した。
次に、企業に便利な生物多様性保全ツールとして、水産資源の「MSC」、木材や紙の「FSC」、薬用植物の「フェアワイルド」、パーム油の「RSPO」といった認証制度をWWFが紹介し、味の素、イオン、日本テトラパック、ミサワホームが登壇して、コスト負担や活動の意義を伝える苦労などを語った。
例えば、国内最多の11品目のMSC認証商品を扱うイオンは、PB商品「トップバリュ」として展開することで、価格を抑える努力をしている。イオン商品調達の山本泰幸・水産調達部長は「各工程で工夫して認証コストを吸収した。大学生と協力して店頭でキャンペーンも展開したが、まだ認証マークの意義は広く伝わっていない。今後も各ステークホルダーとコミュニケーションを図っていきたい」と語った。
WWFジャパン自然保護室の粟野美佳子氏は「生態系に頼る以上、投資が必要」と解説し、ファシリテーターを務めた足立直樹氏(レスポンスアビリティ代表)は「外部不経済を明示したのが認証コスト。理想を言えば、消費者も含めて皆で公平に負担するべきでは」と提言した。
WWFは「生きている地球レポート2012」で、既に地球と人類との需給バランスは崩れていると指摘した。「環境問題の解決は企業の参画無しには実現できない」として、積極的に企業との協働を進めている。「クライメート・セイバーズ・プログラム」では、世界の29社と共にCO2排出量を1999年から1億トン削減した。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)