カーボンフットプリント商品だけで一週間生活

公式サイト「エコが見える夏休み CFPMANの挑戦」

8月下旬、東京都内某所のマンション一室でカーボンフットプリント(CFP)商品で1週間生活する実験が行われた。CFP商品は食べ放題、使い放題、逆にCFP以外の商品は使えず、手に触れることも許されない。「CFPマン」と名乗る男性1人がCFP生活に挑んだ。

CFPは作られてから使われ、捨てられるまでの商品一生分の二酸化炭素(CO2)排出量。経済産業省がCO2を測定するルールを作り、2012年度から産業環境管理協会(東京・千代田)が事務局となって運用が始まった。CFP商品を扱いたい企業はルールに従って算定し、検証を受ければCO2量を記載したCFPマークを商品に付けられる。9月13日現在で556商品がCFP商品となっている。

1週間生活の食料は米、ハム、ソーセージなどすべてがCFP商品。男性の衣類もCFP商品のユニフォームで、汚れればCFP商品の洗剤で洗濯する。CFP商品がないテレビ、パソコンの使用は禁止。代わりに男性はCFP商品である画用紙とペンで絵を描いて過ごした。

エアコンにもCFP商品がなく、男性はCFP商品のアイスキャンディーを食べて酷暑を乗り切った。テレビのバラエティー番組さながらにCFP商品を食材とした料理づくりにも挑戦。1週間生活の様子はインターネットで生放送された。

実験の狙いはCFPの認知度アップ。CFPは商品が与える環境への大きさをCO2という形で定量化して示せる。経産省はCFP商品を普及させ、生活者に環境視点での商品選びや行動を促す狙いで始めた。

しかしCFPを知っているのは環境の専門家ぐらい。価格やカロリーと違い、商品に表示されたCO2量が多いのか少ないのかも判断しづらいなど、生活者への情報発信も不足している。実験の事務局である「エコが見える学校」の正畠宏一さんは「まずは専門家が自分の知人に1週間生活を知らせ、そこから広げていきたいと思って企画した」と話す。

25日には報告会が開かれた。事務局の集計によると1週間で消費されたCFP商品は51点、商品を通して排出されたCO2量は88・3キログラム、1日平均だと12・6キログラムだった。CFPマンは1週間生活を振り返り「歯ブラシ、石けんにCFP商品がなかったのがきつかった。エアコンもなくて辛かったが部屋の風通しを良くしたり、服装を工夫すればしのげることがわかった」と感想を話した。(橋木公)

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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