記事のポイント
- EVのCO2排出量はガソリン/ディーゼル車の約半分になることが明らかに
- 米国エネルギー省が分析したデータを参考に比較した
- 2050年にはEVの排出量はガソリン車の4分の1まで下がる可能性も
EV(電気自動車)とガソリン/ディーゼル車(ICE=内燃機関自動車)のライフサイクル全体のCO2排出量を比べた結果、EVのCO2排出量はガソリン車の約半分になることが明らかになりました。米エネルギー省が分析したデータを参考に比較しました。2050年にはその差はさらに大きく開き、EVの排出量はガソリン車の4分の1まで下がる可能性もあります。(オルタナ客員論説委員=財部 明郎)
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が何年も前から警告しているように、現在地球温暖化が進行しつつあり、これに伴って異常な高温や渇水、大雨など様々な気候変動が起こっている。
そして、この地球温暖化の原因はCO2を始めとする温室効果ガス(GHG)であることはもはや疑う余地がないとされている。このため、世界中でCO2を排出しないこと。つまり脱炭素が進められているわけであるが、EVは走行時にCO2を排出しないことから、脱炭素の切り札のひとつと考えられている。
ただし、確かにEVは走行時にはCO2を排出しないが、そのエネルギー源となる電力を作る過程、つまり発電時にCO2を排出しているのではないか。つまり、CO2を排出する場所が道路から発電所に代わっただけだという指摘がある。
また、EVは電力を貯めておくためのバッテリーを必要としているが、このバッテリーの製造過程で大量のCO2を排出している。あるいは、バッテリーの廃棄過程でもCO2を大量に発生するという指摘もある。
本当にEVはガソリン車よりもCO2排出量が少ないのだろうか。これは単に走行時のCO2排出量だけでなく、バッテリーを含めた車両の製造や、燃料あるいは電力の生産から車両の廃棄までを含めた、いわゆる「ゆりかごから墓場まで」の総CO2排出量を比較しなければならない。
■米国のSUVのLCAをEV型とガソリン型で比べた
■ガソリン車からEVへの転換、CO2排出量46%減に
■EVの排出量、50年にはガソリン車の4分の1に
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