働く女性の悩みを受け止める企業横断型コミュニティが好評

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記事のポイント


  1. BIPROGYは、働く女性が悩みを共有できる企業横断型コミュニティを運営する
  2. 匿名で投稿した内容が48時間で消える仕組みが、本音を打ち明けやすいと好評だ
  3. 「自社で当たり前」のことも、社外の異なる意見を知ることが、活力を与える

BIRPROGYは、働く女性が悩みを共有できる企業横断型コミュニティ「marbleMe(マーブルミー)」を開発・運営する。匿名で投稿した内容は48時間で消える仕組みで、センシティブな内容の悩みも、本音で打ち明けることができると好評だ。同じ悩みを共有する一期一会の出会いが、「悩んでいるのは自分だけではない」と、悩める女性たちの活力になっている。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

匿名かつ投稿が48時間で消える「marbleMe」がユーザーに好評だ

BIPROGY(旧・日本ユニシス)は2023年10月、働く女性たちが健似公表だ 康やキャリア、人間関係などの悩みをオンラインで共有する企業横断型コミュニティサービス「marbleMe(マーブルミー)」の提供を開始した。利用は法人契約が基本だ。サービス開始から約2年半で、3000人を超える女性がコミュニティに参画する。

「marbleMe」で共有される悩みはさまざまだ。家事と仕事の両立といった内容から、不妊治療、生理に対する職場の理解、職場の人間関係、介護問題など、多岐にわたる。

例えば、「大事な商談が生理の辛い日と重なり、周りの男性や上司になかなか伝えられないときにどのように工夫しているか」という相談には、実際に実践している人たちの工夫が多く集まった。投稿した女性からは、「まずは一歩として、こういう対策をしてみようと思える道が見つけられた」とのコメントがあったという。

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BIPROGYで「marbleMe」の運営を担当する同社戦略企画部事業企画室の虎谷奈津美さんは、「匿名で投稿でき、かつ、その内容が48時間後に消えるという仕組みが、センシティブな内容でも吐き出しやすい心理的安全性につながっている」と、オルタナの取材に答えた。

「『悩んでいるのが自分だけではなくて安心した』と、投稿した女性が前向きな気持ちになったとの声が寄せられている」と言う。

「自社の中にロールモデルを見つけられない人や、身近な人には言えない悩みを抱えている人にとっては、他社で働く女性に相談できる機会は貴重だ。企業によって社風などの違いはあるが、一人で抱え込まずに悩みを共有できることは大きい。『会社の中での当たり前も、社外の人の考え方を知ると、そうではないと新しい気づきになった』との声も多い」と虎谷さんは話す。

■専門家に相談できる座談会も

「marbleMe」を通じて、それぞれの悩みについて専門家にアクセスすることも可能だ。健康関連であれば看護師や、キャリア関連だと産業カウンセラーなど、希望すれば、プロフェッショナルに1対1で悩みを相談し、直接、対処法についてアドバイスを得ることもできる。

また毎月複数回、働く女性に多い悩みをテーマに、専門家を交えたウェビナーやオンライン座談会などのイベントも開催する。

座談会の場合は参加者を少数にしぼり、専門家がファシリテートする形で、悩みや思いを共有する。必ずしもその場で答えまで導けるわけではないが、同じような悩みを抱えた人たちとの一期一会の出会いで、「気持ちが軽くなった」と好評だ。

顔を出さなかったり、アバターを使ったりして参加する人も多い。「知り合いではないけれど、同じ悩みについて、知らない人と真面目に話してみることが、経験としてよかった」との声もあったという。

■立ち上げたのは強い「志」を持ったメンバーたち

BIPROGYは2022年に、社名を日本ユニシスから変更した。中核事業はシステム開発だが、社会的価値を創出する企業を目指している。

BIPROGYは、デジタルの力を生かしてさまざまなものを可視化することで、人々や企業の行動変容を促し、サステナブルな社会の構築につなげようという「デジタルコモンズ」という概念を提唱する。「コモンズ」は「コミュニティ」にも言い換えられる。

「marbleMe」の開発の発端は、ヘルスケアに関する課題について議論をしていた中で、ある女性が、「更年期症状と仕事の両立に苦しんでいる」と悩みを吐露したことだ。

「デジタルコモンズ」の考え方の下、働く女性の健康課題やワークライフバランスをどう支援していくかを考えるプロジェクトが2022年に始動した。

プロジェクトメンバーには、複数の企業から性別に関係なく志のあるメンバーが集まった。過去に不妊治療と仕事の両立で悩んできた人、がんサバイバーとして活動している人など、それぞれに強い思いがある。虎谷さんは、「メンバー間では、生理の問題から不妊治療、介護など、なんでも本音で議論できる」と話す。

■「社会を変えるために周りも巻き込みたい」

ユーザーからは、「『marbleMe』で出た意見を会社にフィードバックしてほしい。そうすることで、会社側に課題感を持ってもらいたい」との意見もあるという。だが、虎谷さんは、「投稿後48時間で消える仕組みは、ユーザーの心理的安全性の観点から、最も大切にしている部分だ」として、現時点では投稿を企業に見せることは考えていないと話す。

「投稿した人が、あとから恥ずかしく感じてしまうということもよくある話だと思っている。また、気持ちがまとまっていなくても、安心して吐き出して良い場にしたい。なんらか吐き出してくれた気持ちに対して、『私も一緒だよ』と言ってもらえる、そういう場を大事にしている」(虎谷さん)

だが、クローズドなコミュニティの中だけで悩みを相談・解決できたとしても、社会全体を変えることにはならない。

虎谷さんは、「コミュニティの中の人たちだけでなく、周りも変わっていくことが大事だ。個人と紐づけない形で、どのような話題が『marbleMe』で出ているのかを分析し、社会が変わるべきことについては、コミュニティの周りを巻き込んでいくような活動を目指していきたい」と意気込む。

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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キーワード: #ウェルビーイング

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