
ザ・ボディショップ(本社・英国)は、フェアトレード認証を受けた「リサイクル・プラスチック容器」を導入すると発表した。この場合のフェアトレードとは、路上でプラスチックの回収を行う生活者や無職の人に適正な収入と、安全でより良い労働条件を提供することを意味する。「リサイクル」は、これらプラスチックの再生利用品という意味だ。今後、同社の全商品をフェアトレード・リサイクル・プラスチック製容器に転換する。(NZニュープリマス=クローディアー真理)
フェアトレード・リサイクル・プラスチック製容器導入にあたり、ザ・ボディショップが原料調達面で協力を得ているのが、ソーシャルビジネス、プラスチックス・フォー・チェンジ(本社・インド)だ。プラスチックス・フォー・チェンジは、リサイクルプラスチックのサプライチェーンにおける透明性を確保するためのプラットフォームを立ち上げた。これは、使用済みプラスチックの回収者から、使用済みプラスチックをリサイクルプラスチック素材に変換する製作所、それを使った容器の生産を行う工場を経て、同容器を使用する企業、そして消費者に至るまでをカバーしている。
同プラットフォーム上で、再利用するための使用済みプラスチックを提供しているのが、都市部貧困層の「ウェイストピッカー」だ。世界人口の約3分の1にあたる30億人以上が廃棄物管理の行き届かないところに住むといわれ、こうしたエリアでは、プラスチックごみの回収をウェイストピッカーに頼っている。
例えばインドでプラスチックごみを拾うのは被差別民「ダリット」だ。安く不定期な賃金と悪条件のもとで働くことを強いられている。プラスチックス・フォー・チェンジは、プラットフォームを通し、使用済みプラスチックの市場取引価格などの情報を示し、ウェイストピッカーが正当で安定した賃金や、教育などを受ける権利を得られるよう支援。世界フェアトレード連盟(WFTO)の認証を受けている。

非公式な存在でありながら、環境保護においてウェイストピッカーが果たす役割は極めて重要だ。プラスチックごみが河川や海洋に流れ込み、汚染を引き起こす前に、ウェイストピッカーがそれらを拾い集めてくれる。インドでは約150万人のウェイストピッカーが日に約6000トンのプラスチックごみを回収しているといわれる。
プラスチックス・フォー・チェンジは、プラットフォームを活用し、都市部に住む貧困層の生活向上とプラスチック汚染の削減に同時に取り組んでいるというわけだ。