ワタミ、越谷市、埼玉県越谷警察署の3者は9月25日、「安全で安心な防犯のまちづくりに関する協定」を締結した。同時に、弁当宅配を行う「ワタミの宅食」北越谷営業所は、具合の悪い利用者を発見し、救急通報したことで人命救助につながったことから、同警察署から表彰を受けた。(オルタナ副編集長=吉田広子)

「ワタミの宅食」は主に高齢者向けの弁当宅配事業で、北越谷営業所は毎日約700軒に約1000食を届けている。最大で週7日間、毎日ほぼ同じ時間に弁当を届ける。
今年6月1日、配達員が利用者である80代男性の自宅でインターフォンを押すと、いつもはすぐに受け取りに出てくるが、その日は一向に出てこない。不在の場合は、鍵付きの専用ボックスに弁当を入れておくことになっているが、前日分がそのまま残っている。
「何かあったのではないか」。心配になった配達員は営業所に相談し、警察に通報した。警察が解錠すると、衰弱した男性がトイレで倒れていたという。すぐに救急車を呼び、一命を取り止めた。
この件がきっかけとなり、ワタミ、越谷市、埼玉県越谷警察署の3者は防犯協定を結ぶことになった。
倉林修身・越谷警察署長は「普段と違った様子をいちはやく察知し、人命救助につなげてくれた。安全で安心なまちづくりには、行政や民間事業者との連携が重要になる。今後も何かあれば、遠慮なく警察や市に通報してほしい」と期待する。
ワタミ埼玉北越谷営業所の山口みどり所長も「何かあったとき、これまでは最初から説明が必要で、どこまで踏み込んで良いのか迷う部分もあった。協定を結んだことで、情報提供がしやすくなり、配達員や利用者の安心感にもつながる」と意気込む。
越谷市は2007年から民間団体と防犯協定の締結を進め、ワタミは19団体目になる。
高橋努・越谷市長は「一人暮らしの高齢者をどうやって見守るかが行政の課題。特にマンション住まいなど、近所付き合いがない高齢者も多い。協定を締結し、ワタミの協力を得られたことは大変心強い」と話した。