海洋国家14カ国が目指す「持続可能な海洋経済」

【連載】ALTキーワード

◆今回解説するキーワード:持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベルパネル

「持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベルパネル」と呼ばれる国際的枠組みがある。ノルウェーが主導して立ち上げた枠組みで、日本を含む沿岸国および海洋国家14カ国が参加している。

この参加国の首脳が連名で、2020年12月2日に『持続可能な海洋経済のための変革』という文書を発出した。

首脳による共同メッセージ

「2025年までに合意国が管轄する全海域を持続可能な形で管理できるようにすること」に合意し、「全沿岸国・海洋国家に対して2030年までに合意に参加すること」を呼びかける内容だ。

合意が目指す変革には5つの主要分野が含まれる。海洋の富(海産物の資源管理、エネルギー開発、海運の環境負荷低減など)、海洋の健全性(温室効果ガスの削減、生態系の保護・回復、海洋汚染の削減)、海洋の公平性(資源への公平なアクセス)、海洋に関する知見(海洋リテラシーの強化など)、海洋ファイナンス(金融への自由で公平なアクセス)といった内容だ。

パネル参加国で占める海域は、世界の排他的経済水域の30%ほどにあたる。今後は米国、中国、ロシア、フランスなどの主要沿岸国に合意が広まるかどうかが注目点となる。

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もり ひろし(新語ウォッチャー)

新語ウォッチャー。国語辞典の新項目執筆を中心に活動。代表的な連載に「現代用語の基礎知識」の流行観測欄(2010年版~)など。執筆記事一覧

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