
イスラエルのNGO団体「イスラエイド」とヒルトン東京は9日、東日本大震災の被災地での支援活動報告会「東北からの声―復興を支援する夕べ」を開催した。
広範囲の人口が地域紛争を原因としたトラウマを抱えるイスラエルでは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)治療が発展している。
イスラエイドは、昨年3月15日に宮城県亘理町に赴き、子どもや高齢者に対し、PTSD防止のためのセラピーを実施してきた。
亘理町では人口35500人のうち、305人が亡くなった。現在も、約3300人が仮設住宅で暮らす。齋藤邦男町長は「イスラエイドの支援のおかげで、疲弊しきっていた住民たちの表情が明るくなったのがはっきり確認できた。住民が抱え込んだ言葉にできない感情を開放してくれた」と感謝した。
イスラエイドのスタッフでPTSDの研究者であるアリエラ・フレイドマン博士は「これまで世界各地で支援活動をおこなってきたが、被災後も秩序を保つ日本人の姿には感銘を受けた。治療に専念できたのは彼らのおかげだ。東北の人々の勇気や忍耐力に力をもらった」と述べた。
ヒルトン東京のスタッフも今年に入り、宮城県の複数の地域でイスラエイドの活動にボランティアとして参加。現地では、ヒルトン東京のパティシエが考案したクッキーにチョコレートで飾りつけをすることで気持ちを癒す「ヒルトンクッキーセラピー」も実践し、子どもたちを喜ばせた。
現在、イスラエイドは活動を宮城県と福島県にある8つの地域に広げ、30団体のサポートを行なっている。今後、最低でも1年間は現地で活動を継続していく予定だ。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)