根拠のない「環境配慮」「サステナブル」表現、豪では違法に

記事のポイント


  1. 根拠のない「環境配慮」「サステナブル」表現は、豪では違法になる
  2. 順守しない場合、5000万豪ドル(約48億円)の罰金も
  3. グリーンウォッシュに対する規制は海外で強化されている

オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は7月14日、環境や持続可能性をうたう企業向けの表現に関するガイダンス案を公表した。根拠のない「環境にやさしい」「サステナブル」といった表現は、豪では今後、違法となる。企業が環境に配慮しているかのように見せかけるグリーンウォッシュに対しては、海外で取り締まりが強化されている。(オルタナ編集部・北村佳代子)

豪では、グリーンウォッシュに関して8つの原則を立てた(画像はイメージ)

ACCCは2023年3月、企業247社を対象に、環境や持続可能性に関する表現についての調査結果を公表した。対象企業の57%が、サステナビリティに関する過大マーケティングを行っていたという。

「虚偽や誤解を招く環境主張は、消費者の信頼を損ねかねない。特に消費者が、環境への配慮のためにより高い金額を支払っている場合はなおさらだ」と、ACCCのジーナ・キャス・ゴットリーブ委員長は述べた。

「真摯にサステナブルなステップを踏んでいる企業を、競争上不利に陥れる」

ACCCは、事業者が、事業や製品・サービスの環境パフォーマンスについて、正確かつ信頼できる情報を明確に消費者に提供し、サステナブルだと主張する際のグッドプラクティスを定めた。

新たなガイダンス案では、以下の8つを主要原則とした。

1) 環境に関する主張が正確で、真実かつ事実に基づいて正しいと保証すること
2) サステナブルの主張を裏付ける証拠があること
3) 重要な情報を隠さないこと
4) グリーンだと主張する前提や制限を説明すること
5) 広範囲でかつ制限のない形で、「環境にやさしい」「サステナブル」といった主張をしないこと
6) 明確でわかりやすい言葉を使うこと
7) 視覚的要素にも責任を負うこと
8) 企業のサステナビリティ・トランジション(持続可能性移行)について直接かつオープンであること

企業が順守しない場合、オーストラリア消費者法違反となり、5000万豪ドル(約48億円)もしくは違反によって得た利益の3倍の罰金が科される可能性があるという。

キャス・ゴットリーブ委員長は、「製品・サービスの環境面や持続可能性のメリットを主張する場合、それが正しいかを確認し、不確かであったり立証できなかったりした場合は、その主張を行わないことだ」と警告した。

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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キーワード: #サステナビリティ

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