記事のポイント
- パーソル総研は企業理念や人事制度の浸透に関する調査を行った
- 理念などの浸透には「口伝え」や「家族」が大きなカギを握る
- 小林上席主任研究員は「サステナの浸透でも応用できるだろう」と話した
パーソル総合研究所(東京・港)は企業理念・人事制度の浸透調査を行った。理念や人事制度の浸透に効果がある施策として、「口伝え」や「家族」を媒介にした働きかけが大きな効果を上げていることがわかった。調査をとりまとめた小林祐児上席主任研究員は「サステナビリティ施策の浸透についても応用することができるだろう」と指摘した。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

調査は全国の男女・正規雇用就業者を対象に行った。自社の企業理念について「内容を十分に理解している」が41.8%、「内容について同意できる」44.5%、人事制度について「理解」は36.1%、「同意」は33.8%となった。実践や習慣についての質問では、いずれも20~30%台だった。
組織・情報・プロセス・人・媒体の5つの次元に分けて、浸透度合いについて調査を行った。社員に浸透させていくにはトップダウン型の「暗室-伝達型」から現場を巻き込んだ「共創-拡散型」への転換が必要だということが明らかになった。
「共創-拡散型」のなかで、注目されるのが「口伝え」や「家族」などが挙がった。
「口伝え」は同僚同士の会話などだ。調査では「うわさ行動」としている。小林祐児上席主任研究員は「従業員同士のうわさ行動によって企業理念や人事制度がシェアされており、その頻度やポジティブさも、浸透施策のあり方に大きく左右されている」と指摘する。
浸透の要因として挙げられた項目のなかで、特徴的なのが「家族」だ。小林氏は次のように説明する。
「たとえば社内報に家族が出てくる場合や、なかにはある女性社員が産休を取得した際に、家族に対して『産休後も活躍してもらいたい』といった内容の手紙を送るケースもあった。こういったケースは少ないが、ポジティブな効果が見られた」
小林氏は「今回の結果は様々な場面で応用でき、例えば企業のサステナビリティの浸透についても活用することができるだろう」と指摘した。