産業技術総合研究所(産総研)は28日、市販のLPG(液化石油ガス)カセットボンベを使用した持ち運び可能な燃料電池システムを開発したと発表した。定置用電源として普及している固体酸化物型燃料電池(SOFC)の小型化に成功しており、起動後2分で直流5ボルトのUSB機器を動かせるという。
通常のSOFCの作動温度は700度から1千度と高く、急速起動性も低いことからポータブル電源への応用が困難だった。今回開発された「ハンディ燃料電池システム」では、ナノメートルサイズの酸化セリウムを電極に付加して耐久性を向上した「ナノ構造制御電極」を採用。従来よりも低温の400度から発電が可能となった。
また、従来の燃料電池システムではLPGの主成分の一つであるブタンをあらかじめ改質する必要があったが、同電極の使用によりブタン燃料を改質器なしで直接使用できる。同システムは30日、2月1日に東京ビッグサイトで開かれる「nano tech 2013第12回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」の産総研ブースで展示される。(オルタナ編集部=斉藤円華)