岐阜の「核融合」施設実験に反発強まる

このエントリーをはてなブックマークに追加

「核融合科学研究所」の実験装置

岐阜県土岐(とき)市で文科省所管の研究機関「核融合科学研究所」が計画している重水素実験に対し、放射性物質の安全管理などに不安を抱く母親たちからの反発が強まっている。研究所と地元自治体が実験に合意する協定を結ぶ3月末の期限を前に、住民らは1万人の署名集めなどの活動を広げて実験中止を訴える。

■ 「地上の太陽」と研究推進

核融合は質量の小さな原子核同士を衝突させ、別の重い原子核をつくる反応。重い原子核を分裂させる原発とは逆の原理によって、膨大なエネルギーを得て発電することができる。燃料を海水から無尽蔵に取り出せ、核反応の暴走がない「夢のエネルギー」だとして期待がかかる一方、「地上の太陽」と表現される壮大さに技術面やコスト面から課題が多く、科学者の間でも賛否が分かれてきた。

日本では原発の商用化と入れ替わるように1970年代から核融合発電の研究が本格化。茨城県の日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)をはじめ各地の大学などに実験装置が建設された。土岐市には、隣接する瑞浪(みずなみ)市に誘致された原研の超深地層研究所とともに岐阜県の研究学園都市構想の一環で名古屋大学から研究施設が移転、98年から大型ヘリカル装置という最先端設備による実験が始まっていた。

研究所はこれまで水素を使った基礎実験にとどめてきたが、実用化には水素の同位体である重水素を用いた実験が不可欠だとして、岐阜県や土岐、瑞浪、多治見の地元3市と環境保全などに関する協定を結んで実験に踏み切ろうとしている。

■ トリチウム年555億ベクレル

重水素は放射性物質ではないものの、重水素同士の反応から放射性物質のトリチウム(三重水素)と中性子が発生する。施設内でのトリチウム発生量は最大で年間555億ベクレルと想定され、研究所は除去装置で回収するため問題ないとする。また中性子の発生で装置自体が放射性物質化する「放射化」の恐れもあるが、実験終了後40年程度で基準以下の安全なレベルに落ち着くと強調する。

しかし「絶対の安全はなく、住宅地の近くで実験する必要はない」などと反発する住民らが当初から実験中止を求める運動を展開。福島の事故後、放射能に不安をもつ母親らが合流し、昨年から勉強会を開いたり、自治体に説明を求めたりしてきた。署名集めは2月20日までに1万人分を目指す。

母親の一人は「研究者にも正義があるのでしょうが、3・11後の私たちとは向いている方向がまったく違う。専門家の言う安全をうのみにする自治体も、もう信用できない。一度認めたらいろんなものが集まってくるかもしれない。すでに1000億円以上の税金がかけられていて、地元だけの問題ではないはず。よく考えたいけれど時間がないので、まずは協定書に調印しないよう訴えたい」と話す

署名用紙は「多治見を放射能から守ろう!市民の会」のサイトからダウンロードできる。(オルタナ編集委員=関口威人)

◆「多治見を放射能から守ろう!市民の会」

2013年1月31日(木)11:11

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑