ラッシュ創業者、化粧品の動物実験廃止を日本に呼びかけ

■ 「動物毒性試験は時代遅れの科学の象徴」

ラッシュとHSIは、世界各国の動物実験を実施している会社に対して、EUの販売禁止を契機に動物に苦痛を与えない「クルーエルティ・フリー」(動物実験をしない)の方向に転換するように呼びかけている。

呼びかけの公開書簡は、日本化粧品工業連合会の会長前田新造氏、オーストラリア、インド、ブラジル、ロシア、韓国、カナダ、米国各国の化粧品工業連合会に宛てられた。

マーク・コンスタンティン氏は書簡のなかで、次のように述べた。

「動物毒性試験は時代遅れの科学の象徴であり、消費者の安全を確実に保証することができない、何十年も昔の手法です。安全性の試験の未来は、最新のヒト生物学に基づいた手法にこそあると思われます。このような理由から、科学的理由で動物実験が必要であるという説明は通用しないと考えております」

「さらに、かなり前から安全性が確立された既存の化粧品成分も何千と存在しており、これらの成分に対して新たな試験を実施する必要はありません。これらの成分でできる無数の組み合わせにより、ラッシュなどの会社は思う存分革新することができています。このような理由から、ビジネス面の理由において動物実験が必要であるという説明も通用しないと考えております」

日本での化粧品における動物実験は、「医薬部外品」を除いて、化粧品やその成分の安全性を保証するため、国から明確に義務付けも禁止もされていないのが現状だ。

大学や法人などの研究機関は、適切な動物実験を行うようにそれぞれ独自のライセンス制度や動物実験委員会の設置を行っているが、欧米のような国家資格に準じる免許制度はない。

日本企業としては資生堂が2011年3月、自社での動物実験を廃止した。同社は国内外の業界団体や代替法の検証機関と連携し、いち早い外部への委託も含めた動物実験の全廃を目指している。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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