富士山保全「『美しい自然を守ろう』だけでは足りない」

この7月に世界文化遺産への登録がほぼ確実視されている富士山。しかし以前から富士登山をめぐり「オーバーユース(使いすぎ)」が指摘される中、観光客がさらに増えることに対しては懸念の声も聞かれる。こうした中、富士山麓で環境教育やエコツアーを行う団体は「『美しい自然を守ろう』だけでは足りない」と指摘する。

■イコモス「開発制御や来訪者管理を」

富士登山 (Wikimedia Commons.)

富士山の世界遺産登録をめぐっては、過去に自然遺産として登録がゴミの不法投棄などの問題で挫折。今回の勧告でイコモス(国際記念物遺跡会議)は「富士山は宗教的伝統と芸術的伝統の融合が顕著」と指摘し、山岳巡礼の聖地という富士山の文化的価値を高く評価した。

その一方でイコモスは、富士山が直面する脅威として「開発の拡大」「来訪者数の増加に伴う(登山)斜面の流亡」を挙げる。観光シーズンにご来光を求めて富士登山道が登山者らで渋滞するのは、毎年繰り返される光景だ。イコモスは「いくつかの構成資産の内部及びその周辺においては、さらなる開発への制御や来訪者管理戦略、危機対策計画が緊急に必要」と訴えている。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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