アライアンス・ブーツ社の従業員エンゲージメント――下田屋毅の欧州CSR最前線(39)

下田屋毅
サステイナビジョン代表取締役

エリス氏は、「我々は、従業員とのコミュニケーションには様々な技術を使用している。例えば、店舗を訪問し従業員と話しをすることである。店舗にいる従業員こそが本当の話を伝えてくれる。彼らは問題に対する最良の解決策、あるいは新しいアイデアを提供してくれる」と話す。

さらに、「取締役会と話すことも重要だが、店舗の従業員との会話はより重要で、業務効率を向上させかなりの費用の節約にもつながった」と続ける。
また他にも仕組みがある。顧客、従業員の大多数は女性で 80%を占める。その上で従業員の問題を理解するために、取締役会に女性がいるだけでなく、それぞれのレベルで女性の代表がいるという。

「我々は、多くの女性が家族の世話など他の責任を持っていることを理解している。女性が我々の戦略において鍵となっていることを確認し、彼女らのニーズと必要とするサポートを戦略に組み込むようにしている」(エリス氏)

従業員の課題を理解するためのスタッフ責任者とのミーティングの開催、それを踏まえて従業員の業務に「CSR/サステナビリティを組み込むための訓練」を実施している。そして取締役会が、従業員に対する目標とポリシーを設定し、CSR/サステナビリティに関して従業員の功績に対しての報酬を与える仕組みがある。

エリス氏は、「これら双方がその取り組みについて認識している時、会社と従業員の関係は円滑になる」という。

■社員が「CSRチャンピオン」としてけん引

さらに、社内で「ビジネスとCSR」のために何かをしたい人々、つまりCSRチャンピオン(推進者)を見つけ出し、CSR戦略のターゲットの達成の役割を担わせている。

エリス氏は「我々は店舗の従業員を信頼し、彼らからの信頼も得て良好な関係を構築している。これは我々が求めているもので、これにより適切な方法でCSRを実施してもらうことができている。従業員に仕事上でより自信をもたせること、そしてそれが、従業員にビジネスをより持続可能にするアイデアを思い付くことを可能にさせる」という。

アライアンス・ブーツは、もともとCSRの推進が思うように進められる状態であったということではなく、リチャード・エリス氏やCSRチームが、試行錯誤をして仕組みを作り上げていったのである。

欧州CSR先進企業においても、最初の段階ではCSR/サステナビリティに強い思い入れのあるリーダーの力によって作り上げられてきたようだ。企業の中で、本来のCSR/サステナビリティの重要性について一番知っているのは、CSR担当部門である。是非上記仕組みを参考に社内でその仕組みが機能するよう取り組みを進めていただきたい。

下田屋毅(しもたや・たけし):
在ロンドン CSR コンサルタント。大手重工業会社に勤務、工場管理部で人事・総務・教育・安全衛生などに携わる。新規環境ビジネス事業の立上げを経験後、渡英。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。欧州と日本の CSR の懸け橋となるべくCSR コンサルティング会社「Sustainavision Ltd.」をロンドンに設立、代表取締役。

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下田屋毅
サステイナビジョン代表取締役
欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。

2014年7月3日(木)19:58

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