論者は、世界大で持続可能な経済社会を作っていく上では、ありとあらゆるビジネスがそれぞれに持つ環境側面を、それぞれなりにすべて改善していくことが鍵であるとかねてより思い、そう主張している。
しかし、頭では分かっても腑に落ちるとは限らない。そこで、環境とビジネスとの関係を実物的に見ることで頭を補うことが必須となる。その機会となるのが、日本で言えば、年末恒例のエコプロダクト展である。今年で既に16回を数えており、今年の面積は5万1000㎡強。去年の出展者は700社・団体、参観者数は、3日間で合計約17万人であった。
ところで、フランスにも、老舗のエコ・ビジネス展示会がある。それは、リヨンでやはり12月に開かれるPOLLUTECである。今回で26回目を数えている。
論者は、内外の持続可能な経済社会づくりに今以上に貢献するファイナンスとはどのようでなければいけないか、という研究を担当している。
この観点で、フランスを訪問し、様々な機関との話し合いなどを行ったが、その一環としてこのPOLLUTECの展示会場を実際に訪れてみた。以下はその観察記である。日本のエコプロ展を改善していく上での、そして延いては、エコ・ビジネスがますます興隆していく上で、役に立つことが少しでもあれば幸甚である。
参加手続き
参加手続きには、日仏の間に大きな違いはないが、フランスでの主流な手続きは、事前にコンピュータを介して、参加者の属性情報を電子的に比較的に細かく書き込むことによって、参加者個々人が印刷して持ち込む入場証(バッヂと称していた)の電子ファイルが送られてくる流れであった。
会場の入り口には、もちろん当日受け付けもあったが、そちらは小規模で閑散としていて、ほとんどの参加者は、既に打ち出した入場証にあるバーコードを係員に読み取ってもらって入場していた。入場証自体は、透明のサックに入れて首に掛けるが、大きさはA4の四分の一。そこに、バーコード以外、氏名、国名などが印字されている。
このように、我が国のエコプロ展にあるような、入り口で多数の人が申請用紙に走り書きをしている、という光景は見られなかった。ちなみに、事前の電子的な参加手続きの恩恵は、現地で買える参加企業のインベントリーなどが細かく収められている「カタログ」が、当日参加では50ユーロであるものが、40ユーロになる値引きだけであった。