30年かけて森と関わる会員を募集――東京美林倶楽部[岩崎 唱]

岩崎 唱
ライター、元森林関係のNPO 事務局長
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林業が生き残っていくにはPRが必要との考えから、設立当初から様々な情報発信を行う。定期的に開催しているツリークライミング体験会も、子どもたちをはじめ少しでも多くの人たちに森や林業のことを知ってもらおうと続けている。森のライフスタイル研究所でも2012年から毎年、年に3~4回のツリークライミング体験会を東京チェンソーズとの共同企画で開催している。

(株)東京チェンソーズ・青木亮輔社長(東京都・檜原村時坂)

(株)東京チェンソーズ・青木亮輔社長(東京都・檜原村時坂)

その東京チェンソーズが、「東京美林倶楽部」というユニークなプロジェクトをはじめた。入会金5万円と年会費1000円を支払い倶楽部の会員になると、花粉の少ないスギ、ヒノキなど3本の苗木を森に植えることができる。植える場所は、東京チェンソーズが所有する約10haの社有林の一部を利用する。そして、この苗を30年かけて育てていく。植林をはじめ下草刈り、枝打ち、間伐など森を育てる基本的な作業を育成イベントと名付け会員が参加し森づくりを行う。育成イベントの他にもツリークライミング、木工教室、写真教室、山野草観察会などがさまざまなオプションイベントが企画されていて会員は優先的に参加できる。

植えた3本の苗のうち1本は約25年後、もう1本は30年後に間伐され、その材は会員のものとなる。もちろん丸太のまま渡されても困るので、あきる野市の沖倉製材所と連携して、板材や家具に加工することができるように配慮している。自分が育てた木で椅子などの家具をつくるもよし、自宅のリフォームのときの材の一部として使うもよし。

今、結婚して間もないカップルだと25年後、30年後というと生まれてくるお子さんが結婚する時期にも当たる。その際に、家族で育ててきた木を使ったスプーンや箸に加工し、引き出物にするなど夢はふくらむ。

残った1本は伐らずに残されて、次の世代へ続く美しい森となっていく。30年間、プチ山主となって山仕事を体験しながら、25~30年後に自分が植えて育てた木材を手に入れることができ、それが自然環境への貢献活動になる。考えようによってはとてもお得な企画だ。

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岩崎 唱
ライター、元森林関係のNPO 事務局長
フリーランスのコピーライター。「緑の雇用担い手対策事業」の広報宣伝活動に携わり、広報誌Midori Pressを編集。全国の林業地を巡り、森で働く人を取材するうちに森林や林業に関心を抱き、2009年よりNPO法人 森のライフスタイル研究所の活動に2018年3月まで参画。森づくりツアーやツリークライミング体験会等の企画運営を担当。森林、林業と都会に住む若者の窓口づくりを行ってきた。TCJベーシッククライマー。

2015年4月3日(金)13:31

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