沖縄県名護市の稲嶺進市長は27日朝、米海兵隊新基地の建設に抗議する辺野古のキャンプ・シュワブ前テントを訪れた。稲嶺市長は翁長雄志沖縄県知事らとともに27日、基地建設撤回を求める訪米行動に出発する。稲嶺市長はテントに集まった市民を前に「知事を先頭に(米側に)沖縄の声を届ける」と話した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■「米国の世論形成を」「辺野古の実情伝わらず」
今回の訪米は、辺野古新基地に反対する沖縄の民意が背景にある。稲嶺市長は「訪米を通じて外堀を埋めていく。(基地建設の動きを)外から包囲していく」と意気込みを示した。
テントに集まった市民の一人で、那覇市に住む男性(68才)は「米国の人脈を生かして、建設撤回の世論を作って欲しい」と話した。
世論形成には、具体的にどのような情報を米国側に伝えるのかも重要だ。名護市を拠点にジュゴンの生息調査活動を行うNGO「北限のジュゴン調査チーム・ザン」の鈴木雅子代表は「辺野古の実情が米国側に伝わっていない」と指摘する。
国際環境NGOのグリーンピース・ジャパンが4月末に米国大使館担当者と会合した際、米側は辺野古沖での環境破壊の実態について、知らないかのような素振りを見せたとされる。会合時に米側に提示された、沖縄本島北部の周辺海域に生息するジュゴンの行動範囲の記録図を環境省の報告書から探し出したのが、鈴木代表のNGOだった。
稲嶺市長は記者の「米側に何を伝えるのか」との質問には答えず、テント前を後にした。