椿を軸に資生堂が描くまちづくり支援[荻布 裕子]

資生堂パーラーが椿油を調達する東北・気仙地域は、そのように椿油を食用や整髪料に活用する文化をはぐくんできた、太平洋側の北限とされる。ドレッシングに使用している椿油は、寒暖差のある土地柄による良質さだけでなく、焙煎した椿の種を人の手で丁寧に搾って作るので、焙煎ならではの豊かな香りと美しい黄金色が特長だ。

■「椿」を軸にしたまちづくり支援を通して

実はこの商品は、気仙地域である大船渡市・陸前高田市で資生堂が続けてきた復興支援活動から生まれたものだ。資生堂の商標が「花椿」であることと、大船渡市・陸前高田市の市の花が「椿」であることから、資生堂は2013年度からこの地で椿を軸にまちづくりを支援する活動を続けている。地域の方々の意見を集めるなかで、椿を産業資源・観光資源として活かしていきたいという想いを聞いたのがきっかけだ。

気仙地域での資生堂の取り組みは、1つの地域に深く関わり、地域の方たちと一緒に汗をかいて作っている。企業活動のスタイル自体が、取引先や客などのステークホルダーと、顔の見える関係と丁寧な対応をモットーとするところから、復興支援活動においても、地域の方との顔の見える関係から見つけた課題をともに乗り越えていきたいとの考えが背景にある。

実施内容は、椿の実の収穫量を増やすための椿の苗木・成木の植樹や、椿の可能性を地域の方と一緒に体感するイベント開催など、多岐に渡る。すべて地域の方の「椿を産業資源、観光資源に活かして行きたい」との思いを実現するため、産業化を意識した上での取り組みだ。「気仙椿ドレッシング」もその一環で、まだまだ全国的に名前が知られていないこの地域の椿をブランディングする活動の1つとして考案されたものだ。

大船渡市の中でも、今年から椿の産業化に向けた連携が進む。大船渡市には、世界13カ国約550種類の椿が一堂に会する植物園「世界の椿館・碁石」や、県の天然記念物に指定された日本最大・最古のヤブツバキ「三面椿」などが存在する。「椿の里・大船渡」としての発信は以前から行っていた。

一方、椿を生活に活かす地域文化は廃れつつある。椿を活用する企業や団体も個々の動きとなっていて、なかなか市全体としての大きな広がりにはつながっていない。現在市では復興支援員を1人配置し、連携体制づくりや椿の利活用推進に取り組む。「椿の里」づくりの推進を願う資生堂も、これに賛同し、連携している。

■子どもたちにも、椿に慣れ親しむ機会を

ページ: 1 2 3

一般社団法人 RCF
2011年4月、震災復興のための調査を行う団体として発足。現在は復興事業の立案・関係者間の調整を担う「復興コーディネーター」集団として活動。代表理事は藤沢烈。活動例として、2015年度はいわて未来づくり機構を母体とする「いわて三陸 復興のかけ橋プロジェクト」を岩手県より受託し、岩手県内各地と県外企業・団体の復興支援マッチングを推進している。

2015年12月15日(火)15:50

ご購読のお申し込み

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑