ここ最近、繊維リサイクルの取り組みが進んでいるが、少し遅いようにも思う。使用済み繊維はこれまで、新しい服になるか布地になるかのどちらかだった。
この流れに一石を投じたのは、日本航空(JAL)が取り組む古着を使った航空機用バイオ燃料の開発計画だ。同社は日本環境設計(JEPLAN、東京・千代田)とグリーン・アース・インスティチュート(GEI、東京・文京)の2社と協働して、2020年までに実証実験を行えるよう事業を進めるという。順調に進めば、2030年までに商業フライトを実施する予定だ。
岩元美智彦・JEPLAN代表取締役会長は2015年10月、使用済みのTシャツやデニムジーンズを使いバイオエタノールを生成するリサイクル技術を発表した。綿に含まれる糖を発酵させてバイオエタノールをつくるという。
すでにJALなどの日本の航空業界は次世代航空機燃料イニシアティブ(INAF) を組織し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて持続可能なバイオジェット燃料の開発を行っている。
岩本氏は「将来、ごみで自動車が走る時代が来る。バック・トゥ・ザ・フューチャーのようにね。もし来なければ、私が開発するよ」と語った。
バイオジェット燃料をつくるというのは大きな挑戦で、コットンが100トンあっても10キロリットル(約2641ガロン)しか燃料はつくれない。飛行機が飛ぶには、1秒あたり1ガロンが必要になる。ニッケイ・エイジアン・レビューによると、日本で消費されるコットンをすべて燃料の製造に使ったとしても、わずか7万キロリットルで、日本で必要とされるジェット燃料の1%にも満たない。そうは言っても、今回開発される技術は今後、紙などの他の資源でも適用できるだろう。