「志」を求める若者たち(1) 『ワンピース』感覚、皆で出帆

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聞き手 森 摂

最近の若者は「引きこもり」だの「ニート」だの不名誉な言葉で片付けられることも多いが、高い「志」をもった連中が少なからず居る。オルタナ編集部 にも社会起業家や環境に関心をもつ若者が毎週のようにやって来る。奴らを育てることはオトナたちの義務である。この連載では、「志に飢えた若者たち」を取 り上げ、応援する。第一回目はSOL。使われなくなったビニール傘を再生し、渋谷の街全体の「置き傘」にする「シブカサ」などの事業を始めた。

SOLの創設メンバー

  • 碇 和生(いかり・かずお) 青山学院大学経営学部4年生
  • 末原 弘喜(すえはら・ひろき) 青山学院大学Ⅱ部経済学部2年生
  • 芹田 治(せりた・おさむ) 東海大学コミュニケーション工学部4年生
    =大学名・学年は 08 年3月1日現在

本誌オルタナ8号P54ページの続き

―― いらなくなったビニール傘はどこから回収しているんですか。

末原:忘れられた傘や、使われなくなった傘を、カラオケボックスやホテル、コンビニなどからもらっています。ビニール傘は2週間ほど放置されると無 主物という扱いになり、法律的に誰のものでもなくなります。そうした傘を集めて僕たちでリユースして、渋谷の街の人たちに使ってもらっています。ただ、そ れでも足りなくて、傘を集めるのに苦労しています。

――今後の目標はなんですか。

碇:まず、2月中に設置店を20店舗。それに、傘の安定的な回収や返却率の向上などのシステム面の強化などですね。今の時期はもともと降雨量が低い ので、6月の露の時期までに設置店数を増やし、地盤をガッチリ固めたいです。

――なぜ渋谷の街でシブカサをやろうと思ったんですか。

芹田:渋谷という街がエコに敏感な街だったからです。インタビューをしていて気づいたんですが、渋谷は社会起業家の多い街なんです。ビジネス街とい う面を持ちつつも、原宿や表参道、代官山といったクリエイティブな面もある。そして僕たちのような若者に指示されている街でもあるので、そういった面で僕 たちのやりたいこととマッチしていたからですね。

――今、苦労していることは何ですか。

末原:傘の返却率ですね。現在返却率は約11%。海外で同じ傘のレンタルサービスを調べると返却率は0.3%ほどだったので、それに比べたら高いで すが、まだまだ低いですね。 碇:あと、フライヤーやステッカー代などの初期費用が約20万円かかっていて、今は全部自分たちの自腹でやっています。それらの費用を企業から協賛金を得 るなど、何とかしてお金を得てゆくゆくはビジネスモデルとして確率させていきたいです。

――どんな時に「SOLをやっていてよかった」と思いますか。

末原:人のために何かをやるという試みが始めてだったんですが、色々な人達が協力してくれる、応援してくれるのでそういった所がやっていて良かった です。

碇:僕が良かったのは芸能人に会えたことですね(笑)ズームインの取材を受けた時に西尾由佳理アナウンサーに 会えたのがすごく嬉しかったです(笑)。あと、何よりも嬉しかったのは、自分が企画したものがこれだけの存在になったことです。

芹田:碇と似ているんですが、形になった所が良かったなって思います。外部的な面ももちろんなんですが、内部的な面で形 になってきた。本当にチームとして一緒にやっていくっていうことを、ここまで仲間とガッツリやったことがこれまでの人生でなかったので、そういった面で形 になったことが嬉しかったです

―― 君たちが社会起業に目を向けたことについて、世代的な背景はあると思いますか。

末原:僕たちの世代は、大人の人達がバブルで失敗しているのを見ていますし、堀江さんの事件なども体験していて、お金のためだけで生きるのは違う なってどこかで感じている世代だからじゃないですかね。

―― では、お金を稼ぐことをどう考えていますか。

末原:お金はやっぱり稼がないと幸せになれないかなと思ってます。お金が目的ではないんですが、お金は必要なもので、そこは両立しつつ自分の夢を達 成しないとダメだと思います。優先順位で考えると、 1 番がやりがいで、 2 番がお金って感じです。

碇:僕は社会起業をビジネスとしてやっていきたいと思っています。僕たちの世代は、何だかんだライブドアの堀江さんだとかサイバーエージェントの藤 田さんだとかに憧れて起業を目指した世代だと思います。そこで、僕は社会起業でそういった堀江さんや藤田さんのような、若者に目標とされるような人になり たいと思います。極端に言うと、フェラーリに乗っている社会起業家がいてもいいじゃないかって思います(笑)。だからお金が欲しいわけじゃないんですが、 お金を稼ぎ、世の中にいいことをしている人がいても良いと思うんです。そういった使命感のようなものを僕の中では感じています。それが一番ですね。

芹田:僕はもともと漫画オタクなので、社会起業やビジネスの分野で頑張ることで、オタクでもこういう生き方ができるんだって、そんな影響を世の中に与えた いですね。あとは、趣味が多いのでそういった面にお金を掛けたいという欲はあります(笑)。でも、自分のやりたいことだったり、社会に貢献したいという気 持ちのほうが強いですね。

―― 君たちはどういう人を尊敬していますか。

芹田:荒木飛呂彦さんです。自分の人生を変えてくれた『ジョジョの奇妙な冒険』という漫画を描いている人ですが、この人は本当に尊敬しています。あ とは、お笑い芸人の島田紳助さんを尊敬しています。紳助さんの生き方ってカッコいいんですよ。本業で稼ぎつつも、趣味というかサイドビジネスとして飲食店 とかをやっていたりするんです。しかも、どちらでも成功している。単純にお金というよりは、これは面白そうだからやってみようってスタンスで物事に取り組 んでいる。そしてやるからには絶対に成功させるという強い意思。そういったスタンスに尊敬します。

碇:僕はSOLのメンバーに出会ってからいいなって思っているのが、日本の分岐点となった人物、坂本竜馬ですね。社会起業というのもITなどに続く 一つの分岐点になりうると思うので、そういった面でも尊敬しています。あと、僕はもともとバンドマンなのでビートルズが好きで、ジョン・レノンのように自 分で何か表現をして、世の中の人たちがそれをいいと感じたりするような、人に影響を与えていく人になりたいと思っています。

末原:僕は尊敬する人が凄く多いです。自分に持っていないものを持っている人は尊敬しています。うちのメンバーは特に尊敬していますね。インタ ビューにいった方でWISEWISEの佐藤さんという方がいるんですが、佐藤さんも尊敬していて、周りを引き込む魅力を持っている所とかは本当にすごいと 思います。

2008年4月3日(木)20:43

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