東京の秋の水辺を彩るキセキレイ

坂本 優
生きものコラムニスト
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人間の目からは「野鳥の楽園」と見える場所であっても、そこに住む野鳥にとっては、異種間、同種間の激しく厳しい生存競争の現場だ。

そしてハクセキレイという強力なライバルに囲まれながら生き抜いていると思って見るからだろうか、石神井川のキセキレイの姿を見ると、私はそのたびに健気とさえ感じてしまう。

種の分化は職業の分化にも例えられている。石神井川の周辺に、何かキセキレイなりのニッチな世界が確保されているのだろうか。

大都市の中の、小さな水辺の身近な生き物の世界にも、まだまだ私たちが知らないこと、気づかないことがたくさんあると日々実感する。

ちなみに、この2種類のセキレイは、鳴き声も「チュ・チュチュ」「チチ・チチチ」「キチキチ」など似ているが、体同様、声もハクセキレイのほうが大きく、また歯切れよく聞こえる。慣れると、鳴き声から聞き分けることができるので、声をたよりに探すこともできる。

滅多に出会えず、また観察には双眼鏡かズーム機能つきカメラがお奨めだが、キセキレイが毛づくろいする姿は、普段のスリムなイメージとは全く異なり、時間のたつのを忘れて見入ってしまう。日頃、水辺を散歩する折などに、キセキレイの姿はよく見かけているという方も、是非、ご覧ください。

ハクセキレイについても、セグロセキレイとともに次回コラム「世界の覇者と日本固有種 対照的な2種のセキレイ」で写真とともにご紹介したい。

 

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坂本 優
生きものコラムニスト
1953年生。東京大学卒業後、味の素株式会社入社。法務・総務業務を中心に担当。カルピス株式会社(現アサヒ飲料株式会社)出向、転籍を経て、同社のアサヒグループ入り以降、同グループ各社で、法務・コンプライアンス業務等を担当。2018年12月65歳をもって退職。大学時代「動物の科学研究会」に参加。味の素在籍時、現「味の素バードサンクチュアリ」を開設する等、生きものを通した環境問題にも通じる。(趣味ラグビー 関東ラグビー協会理事)

2017年11月16日(木)18:09

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