「寄付」も「投資」も社会変革への意志:村上世彰氏

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かつて「村上ファンド」で世間を騒がせた投資家・村上世彰氏が、非営利団体の活動支援に力を入れている。「物言う株主」として知られる村上氏だが、一方でこの10年間で十数億円をNPOなどに寄付してきた。なぜ村上氏は、配当がない団体や活動に私財を投じるのか。村上氏にとって寄付とは何か。(聞き手:森 摂=オルタナ編集長、吉田 広子、池田 真隆=オルタナ編集部 写真:福地 波宇郎)

インタビューを受ける村上氏

■寄付で株主価値上げよ

――米国のノーベル経済学者ミルトン・フリードマンは、かつて「寄付やフィランソロピーは株主に対する背任行為である」と主張しました。村上さんは、どう考えますか。

盲目的に企業に寄付を求めることには反対です。企業は株主価値(企業価値─負債価値)を上げることを最優先に考えなくてはいけません。寄付によって株主価値が上がるのなら良いですが、「お付き合い」なら寄付はやめるべきです。その寄付で、会社がいかに社会に認められるかが大事です。

――CSV(共通価値の創造)を提唱したハーバード・ビジネ・スクールのマイケル・ポーター教授も「社会貢献」を否定しました。「寄付やボランティアで企業の価値は高まらない。本業を通じて社会的なインパクトを出すべき」との理由です。

大切なことは寄付の額ではなく、その寄付に「意志」があるかどうかです。企業は納税をしていますが、その上で寄付をするということは、意志があると言えます。意志を持って企業の価値を上げることは非常に重要なのです。そのときは、株主も株主価値が上がったと納得できるはずです。

例えば、JTはNPOの「グリーンバード」に寄付をしています。グリーンバードの清掃活動に参加する人には、JTのロゴが入ったゼッケンを配ります。JTのゼッケンを着た人たちが街で清掃活動をしているのですから、確実にプラスの効果をもたらしています。

日本では、「お付き合い」で寄付を行う企業も多いと思いますが、そうではなく、強い意志をもって、広い意味で企業価値の向上につながる社会貢献をしてもらいたい。

――村上さんは、「投資と寄付は同じ」と公言されていますが、その理由は何でしょうか。

投資と寄付は、その「リターン」が違うだけです。投資も寄付も課題解決への手助けです。投資はお金が返ってきますが、寄付は先方から感謝されます。どこかの団体に寄付させていただくことで、その活動に貢献できたと感じ、自分の心が温まります。寄付する側にとって、これは最も重要なことだと思います。

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2017年12月20日(水)11:45

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